ウエルベックに首ったけ!

 何か、と思い適当に小説を読んでもあまり感情が動くようなことはなく、結局好きな人のを再読してしまう。ミシェル・ウエルベックの『闘争領域の拡大』

 彼の小説のすばらしい、すばらしく頼もしい点は、性の愛の賃金の格差も社会もSF的ガジェットも、何もかもが「ある人」を救わないということだ。サルトル大江健三郎に通じる性格の悪さ、いや、彼らは「とりあえず」の処方箋は用意してくれたりするのだけれど、ウエルベックは執拗に、それを跳ね付ける。救われる人は救われるし、そうでない人は、どうしようもない。

 かといって厭世主義というわけではないのだ。訳者のあとがきに書いてあるが、彼の小説は「解明の試み」なのだそうだ。確かに、多くのことはくだらなく、しかし、それを愛してしまったり固執してしまったりもするし、とりあえず考えてしまうのならば眼差しを大切にするならば、単純ではいられないということだ。

 ロートレックが婦人に「なんであなたはこんなに人を汚く描くのですか」としつもんされた時の返答を想起する。

「マダム、それは、その人が醜いからですよ」

 

https://www.youtube.com/watch?v=QsjfqFksfgU&feature=player_detailpage


Owen Pallett - Midnight Directives

 仕事の合間に、オーウェン・パレットの豊かな、精密な人工楽園のような音楽と共にウエルベックを再読していると、非常に、生活によくない。ウエルベックの小説はきっと、<広義の>労働者の為の小説であって、つまり、もう、生活なんてやってられなくなる、次はセリーヌを再読しなくっちゃ、

 って、ダメだ、俺、もっと、テレサとか黒百合のタトゥーとか3DSとかティガーとか、欲しいものはたくさんあるから。ほら、もっと、楽しいことを。


 好ききらいが分かれるけど、俺はカラオケが結構好きで、それはその場にいるといやおうなく知らない曲を何曲も聴くことになるから。

 俺は人の家の本棚を見るのがとても好きなのだけれど、それに近い感覚があると思う。知らない人の、知らないところ。

 カラオケでは多く歌われるランキングで、アニメソングが上位を占めているらしい。

 昔のアニメってほぼ必ず、主人公とかの名前が曲に入っていたように思うのだけど、いつからそれがなくなったのだろう? アニメとかに詳しくないけれど、80年代のアニメはそういうのがとても多いような印象があるのだけれど。

 デビルマンとか超いいじゃんか。そりゃ、中身は原作のほうがずっとグロくて好きだけどさあ。でも、デビールマーンデビールマーン、って、あの歌はかなりテンションがあがる。俺もアモンと合体したい。

 多分昔のアニメは、子供が一緒に歌える、歌いやすいようなものを意識して作られていた(戦隊ものとかもそうだと思う)はずで、こどもじゃなくても、人と歌うと結構もりあがるもので。

 でも、割と90年代半ば位のアニメの曲は割と分かるし、好きなのだが多い。


https://www.youtube.com/watch?v=eiao-HUAcZs&feature=player_detailpage

ワタルの主題歌「ひとつのハートで」とか、

ふしぎ遊戯の「ときめきの導火線」とか(ストーリーはまるで覚えていないが!)
https://www.youtube.com/watch?v=t_RrJ7y4d1w&feature=player_detailpage

エスカフローネの『mystic eyes]とか(ストーリーはまるで覚えていないが!)

https://www.youtube.com/watch?v=Et-V697yE2M&feature=player_detailpage

無限のリヴァイアスの「dis](これは覚えている! って、好きだったこのアニメ!)

http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=P_kWom64lKs


 なんか、ほとんどのアニメは内容はすっかり忘れているのに、主題歌だけは覚えているのはかなりあって、自分でも不思議な気分になる。単に俺が忘れっぽいだけかもしれないけど。

 でも、簡単に色々な気分がよみがえったり、変えてくれたりする音楽って、すごくいいなと思う。

 長身で長髪でふらふらしているので、たまに、音楽とかしているんですかと聞かれるときがあって、それを苦笑で否定する俺は、少しだけ、音楽をしていないことを後悔している、ような気がしないでもない。口ずさむだけじゃなくて、ちゃんと、音楽を奏でられるような努力をしなかったことを。

 楽器が演奏できる人って、男女問わず、とてもセクシーだと思う。何だろう、自分にできないからだろうか?

 代々木公園でシャボンをしていると、しばしば南米の打楽器、ドラムらしきものをたたく人を見かけた。彼らは一心不乱にそれを叩いていて、それは、とても気持ちよさそうだったし、たたくだけなら、リズムを刻むだけなら、俺にでも簡単にできそうかなと思ったから。


 ゲームがスゲー好きで、音楽ゲームも好んでプレイしている。色々プレイした中でも一番好きなのはポップンミュージックで、単純に楽曲が豊富でクオリティが高いのもあるが、ゲームをしない人にはわかりにくいけれど、ボタンを押す快楽というのが絶対にあるのだ。自分の指先で、変わる小さなモニターの中の世界。

 たまにドラムマニアとかやる位ならドラムやれよ、みたいな意見を目にすることがあるが、それは別物だ。ウイイレしてる人にサッカーやれよなんて言わないよね。たたく、触れる、すると音が出る、単純な楽しみ。

 ポップンミュージックは、コンシューマなら15作プレイした、って、つまりひとつのシリーズを十五本も持っている、のに、俺、まあ、そこそこ位の腕前なのだ。元々ゲーセンでプレイするのを無理に家庭用のコントローラーに置き換えているわけで、俺、ゲーセンではあんまりプレイしないわけで、15本も持っているゲームの腕前が「そこそこ」って、!

 で、先日、ワゴンだったから、という理由で「けいおん!」の音楽ゲームを買ったのだが、予想に反してこれがとても面白かった。けいおん! のアニメ自体はちょこっとだけ見たことがある位で、好きでも嫌いでもなかったのだが、曲のクオリティがアイドルのアルバム収録曲級、というか、ちゃんと作られているものばかりでびっくりした。正直あーもえもえのやつね、みたいになめてました。すみませんでした。

 それとこのゲームがすごくいいなと思ったのが、バンドの五人のキャラから一人を選んでプレイをするのだが、ギター、ドラム、キーボード、ベースが二つ、と同じ曲を五つのバージョンでプレイできることだ。

 最初こそ五つもバージョンがあってもなあ、と思っていたのだが、これが思いの外良くできていて、当たり前のことなのだが、ギターを演奏しているときはギターがフューチャーされ、ドラムならドラムの音が主旋律になる(って表現でいいのか?)、つまり自分で演奏している感が味わえるのだ。

 似たようなゲームシステムで「大合奏!バンドブラザーズ」シリーズがあって、これも様々な楽器から選んで演奏ができるのだが、これの場合は本格的すぎて、演奏する楽器の種類が多いのに加え、ノリのよい曲でも単にボーン、ボーン、みたいな繰り返しを演奏する羽目になったり(曲をみんなで演奏するという観点からすると、そういうパートがあって正しいのだが)して、いまいちはまれなかった。多分、本当に大勢でプレイするとすごくたのしいのだろうけれど。

 でも「けいおん!」の割とゆるい難易度とゲーム的な「うそ」(レースゲームが「リアル」だったら、二百キロを超える速度のマシンをプレーヤーは自由自在に操縦できるだろうか?)が、とても心地よかった。丁度ブームも過ぎていたので、100円で売っていたキャラソンまで買ってしまった。俺も、A−BOYになれるかな…まだまだだよな…って、なりたくねーし!

 でも、ギー太に、もう、首ったけっす俺も、ウエルベックからのオチがギー太って。何だか、今日も眠れそうにありません。

https://www.youtube.com/watch?v=rTnzRJDmfkw&feature=player_detailpage