Great3!!!

 色々としたごたごたで、頭はカッとしたり、ぼんやりしてしまったり。ずっと前から楽しみにしていたgreat3のライブの当日にようやくライブハウスの規模やら場所やらを調べる始末だ。

 great3は俺が高校生の頃からめっちゃ聞いていた、一番好きな日本のバンドで、片寄明人の詞も声も、アルバムによってガラッと変わる曲も、全てがツボにはまった。以前アルバムの帯に「メロウネスとタフネスがせめぎ合う」みたいに書かれていたように思うが、哀しいのも陽気なのも、切ないのもズルいのも、馬鹿みたいなのも切実なのも、俺が素敵だなって思えるのが、人間の感情が、生活が曲には詰まっていた。

 これは日本で一番好きな「グループ」の、ピチカート・ファイヴにも共通しているように思う。シニカルで陽気でゴージャスで寂しくって、そう、「いつだってhappy sad!」になれるミュージック。

 でも、俺が本格的にハマった高校時代に、既にピチカート・ファイヴは解散していた。だから、ものすごく悔しい反面、CDやレコードを集めるだけでいいのは助かった。ピチカート・ファイヴのアルバムは30枚以上所有している(活動期間も長いし、海外発売とか色々バージョン違いが多いのだ)。でも、それだって、満足できないし、「適度な満足」で、それが生ぬるく、心地よかった。


 そう、好きなモノは山ほどあって、それらを俺が味わうことは、少しなら、できるってこと。

 great3は、俺が大学の時に活動を休止した。それを知った時、変な感じがして、でも、元々死んでしまったり解散してしまったグループやら人が好きだったりしたから、なんとなく、それを受け止め(俺にはどうしようもないのだし)、しかしライブに足を踏み入れようとかそういう思考にはならなかった。彼らが(ソロは別にして)8年も活動を停止していたのも、なんとなく、受け入れていた。

 元々ライブよりも音源が欲しい、いつでも好きな時に、好きな音楽を、新しい音楽を聞いていたいと思っていて、お金に余裕があるなば数日おきでも毎週でもライブ通いでもいいのだが、そういう甲斐性もないし、そう、好きなモノが多すぎた。

 好きなモノが多い、かんたんに色んな物を人を好きになる、とはいっても、それがそこまで強くないのは自覚していて、たまに自分を薄情だなとも思った。でも、そういう薄情さは誰もが、程度の差はあれ持ち合わせているものだ。でも、薄情だなとたまに自分のことを思うんだ。


 何だか生きていくのは薄情と熱情の繰り返し、だなんて嘯いてみたりして、センチメンタルでバカな学生気分が未だに抜けずに。

 洋服だってそう、バカなのが、阿呆なのが好きで、この日は買ったまま着る機会を待っていた、christian audigierの金のドクロと薔薇がラインストーンで飾られているというかなり悪趣味ロックなTシャツに穴が開きすぎたブラックジーンズに足元はシルバースニーカー、面倒なので手ぶらで会場へ。

 電車での移動中は、一人ならほぼ本を読んでいる。早朝はともかく、本を読まずに電車に乗るなんて、と思う。その分、ipodから流れる音楽に集中できるのだが。それもいいってことに、いつもは気づこうとしない。いつも、欲張りな俺。

 

 友人のお陰で最前列で新宿のライブハウスに入れた。超感謝。目が悪いくせに、未だに裸眼で通しているので、遠くからだとつらいのだ。それにやっぱ、一番前って、いいよね。楽しみにしていたんだ。

 そう、楽しみにしていた通り、期待が裏切られるだなんて疑っていなかった。そう、素晴らしかったんだ。キュートなヤンも、寡黙だけど暑い白根も、そしてテレビやパソコンやCDを通して目にした片寄明人。変に美化したり、がっかりしたりなんてしない、つまり、思ったとおりだった、すごく気持ちよかった。

 個人的には、高校の頃夢中だった「METAL LUNCHBOX」からちらほら曲を演奏していてくれていて、このアルバムはめっちゃポップでロックでファンキーで、人気曲もライブ映えしそうな曲も多いからだろうが、大声で(どうせ誰にも聞こえないから)一緒に歌えて、めっちゃ気持ちよくって、当時のことを色々と思い出したり、今の自分に思いを馳せたり。

 そう、高校の頃、自分の好きに生きるんだ、ということを意識し始めたんだと思う。それがどの位できているのか、続けられたのかはまた、別の話として。

 ラスト、のMCでアキトが新アルバムのラストナンバー、砂時計を歌うという前に、今回のアルバムはいろんな奇跡とかが重なって出来て、みたいな話をして、多分こういうのってあの場で聞かないと、ファンの俺でも少しありふれた、陳腐で切実な台詞のような気がしてしまうのだが、やはり、ぐっときた。サポートメンバーや会場の人々との時間の共有にも感謝していて、そう、ぐっときたんだ。

 俺の知ることのない、本人たちしか知らない活動停止とメンバーチェンジの8年があって、そして、また、新しい出会いがあって、新しいものが生まれる。

 アキトが「ボクは怖がりだから、今回がラストかもとか思うし、一生懸命やりますよ」、って言っていて、ファンの補正もあるだろうが、すごく重みのある、いい言葉だなと思った。それに何より、メンバーがみんな笑顔を見せて、いい演奏をノリノリな演奏をしていたんだ。

 アンコールも勿論してくれて、マイクロマシーンの ラストの歌詞、そうさ エーヴリシング イッツ オーライ  を何度も繰り返した。

 夢みたいだし、夢でないことくらい自覚している。楽しい時間は終わって、それえ明日になっても、俺は何だかオーライ、な感じもしてくるんだ。

 欲張りだったり神経質だったり、そう、全ては手に入らないし、それでなくても、何かを選んだ時に、それ以外の多くのものを得られないということを、俺は意識してしまう。俺の、特に誰かにしたことを、それが(正しいことなんて出来ないのだから)誠実だったか、適切だったか、いつまでも、無駄に考えてしまう。

 でも、俺も誰かを何かを好きになれる力はあるんだなって、忘れてしまうものでも、忘れてしまっても、素直でいられたら、好きでいられたらと、いつも、そう思っているんだ。自分のことをかっこわるいな、と思わなかったら、多分、覚悟は決まっていると思うし、どうにかなる日々が続いていくんだなって思える。

 過去とか今とか、色々とありがとうって思うし、色々と好きになれるなら、素直になれるなら、それだけでも俺も、まあ、捨てたもんじゃねえなって、そう、気楽に、な。