さようなら、またお会いしましたね

 知り合いになった人と映画や音楽の話をしていて、ミュージカル映画の話になって、『天使にラブソングを』、joyful joyfulを好きだと言ったら彼はそれ、前にみんなで歌ったことあるんだと言った。すごくいい映画だし、ゴスペルって生きる力をくれるような気がするんだけど、なんでだろう。音楽の歴史とか成り立ち、とかいうのをここで引き合いに出すのははあまり好きじゃないけれど、でも、祈りの音楽が人を幸福にすると考えたら、何だか素敵なことのように思うんだ。

Joyful, joyful by Sister Act 2

 

俺はミュージカル映画の中で『ロシュフォールの恋人たち』という映画がとても好きだ、と彼に伝えた。

 その数分後に、ネットでミシェル・ルグランがその日に亡くなったことを知った。

 好きな、縁がない人の訃報に触れると何だか不思議な心持になるのだ。どういう心情なのか自分でも分からない。

 

Michel Legrand 映画「ロシュフォールの恋人たち」 双生児姉妹の歌 Chanson De Jumelles

 

 幸福、という言葉がとても似合う映画。美しく、愛があって、夢のような世界。夢ではなくてシネマ。誰でも簡単に、何度もその夢を反復できる。ドヌーブのお姉さん、主演の一人フランソワーズ・ドルレアックが亡くなったことを知ったのは映画を見た後だった。

 そして、ルグランの訃報を受けて再度この映画の映像を目にすると、何だか映像が眩しくって途中で動画の再生を停止してしまった。

 ドヌーブの訃報を聞いたら、俺はどんな気持ちになるだろう? しばらく動揺して、そしてしばらくしてまたこの映画を見るのだろうか。

 

 髪が伸びすぎていたので、バッサリと切ってもらった。ツーブロック。長髪は好きなのだが、短髪になれたらこれもこれでいいような気がしてくる。渋谷の肌寒い風が覆っていた襟足や耳元を撫で、何だかひとり、ようやく本格的な冬が来たような心持になる。

 

 最近まともに日銭稼ぎをしていたせいか、ストレスで買い物をたくさんしていた。本当は引きこもって本を読んで書いて、いたいのに。でも、何もできずに金だけ減っていくいつものパターンはとても身体によくない。とにかく頑張らなくっちゃ、と思いながら家に届くセールで買った洋服や読んでない本を床に積む。

 

 疲れてるんだ。でも、休んだら次にいつちゃんとできるか分からない。それに俺はとても怠け者なので、まあ、ちょっとヤバイ位の危機感があって丁度いいのかもしれない。

 

 渋谷のモディの前でアサヒの新商品のビールを配っていた。飲みたい、けれど俺はアルコールが回ると何もしなくなる。酒に弱い自分が、頬を上気させ、幸福そうな人の群れに交じるのは何だか楽しそうだなあと思いながらシラフでツタヤへ。レンタルが百円セールなのだ。借りる。沢山。

the sea and cake

tortoise

tendouji

de de mouse

machine drum

cherryboy function

maxo

sigur  ros

ヒゲドライバー

星屑スキャット

 

 13枚かりた。結構借りたのだが、前日ゲオで7枚cd dvdを借りたのだ……消化しなきゃなあ。あと図書館で上限一杯15冊本借りたからそれも消化しなきゃなあ……

 

 で、帰宅してcdをきいているのだが、えらく、良い。話が長くなりそうなので雑に言うと、借りたCDは全部いい。みんなもここに名前があがったCDは全部聞いた方が良い、って口に出したくなるくらい良い。なんだそれ。

 

 とはいえ、当たり前だが、俺は誰かの曲を聞く度に自分が色々知らないことに気づかされる。youtube amazon における無限サジェスト強迫観念地獄みたいな状況に苛まれる、けれど終わりがないサキュバスインキュバス淫夢のごとき夢の時間は素晴らしいことなんだって思うんだ。こういう下卑た表現をするべきではない、かのような。でもやっぱり悪夢だ。未知の既知の輝きに絶えず曝され愛され苛まれることになるなんて。

 たったレンタル百円で購入したとしても三千円で、悪夢を所有できるなんて間違っている。絶対間違っている。情緒不安定になるよ反社会的になるよきっとみんな。

 

 好きな物に触れるとやたらと気分が良い。俺って単純だなーって思う。好きな人の声で音楽で、それだけで様々な物を帳消しにして、でもそれだって忘れる慣れるいつか。

 それでも、新しい音は懐かしい声は俺に優しいんだ。