愚か者が叫ばなくっちゃ愛を

 

 ずっと、美術の話しとかを書いていて、しかしそれで出来た友達はほぼゼロだ。ゼロではないが、俺はずっと、一人で様々な人の目に触れない人達を好きだ好きだ大好きだ愛していると叫び続けていたんだ。

 

 本当に大好きで大好きで大好きな、ジュネやジャコメッティユスターシュユルスナール中平卓馬や……そんな彼らのことを、届かない恋文を叫んで、叫んで、少し疲れた。

 

 本当は共感して欲しかったのかもしれない。俺も僕も私も好きだよって、誰かと毎日言いたかったのかもしれない。世界にはたくさんいるはずなのにさ、何でゴダール最高とか川端康成愛してるとか気軽に言えないんだろう?

 

 でも、好きだって言ってなきゃ、誰かを好きにならなきゃ生きていけない。だから、また、誰にも読まれない小説を、自分の為の小説を書かなくっちゃいけない。

 あ、そういえば、自分の予想通り、スマホ中毒になって、色んなゲームにはまって、アンインストールしまくった。

 

 今日、ロマサガのソシャゲをアンインストールした。大好きななんだ、サガシリーズ。一番好きなゲームのシリーズ、と言ってもおかしくない位、自分にとっては大切なゲーム。

 だけど、元々ゲームの出来には期待していなかった。大好きなキャラが、ガチャで出てしまったから、それで続けていた。本当に大好きな、ギュスターヴ君。ギュス様。

 ただ、さすがにゲーム内容は、ゲームではなかった(大半のソシャゲはそうだけど)。ゲームではないのに、毎日何時間もポチポチしていた。でも、心の隙間ありまくりな俺には、その頭を使わないポチポチがぴったりだった。

 部屋を暗くして、薬を飲んで寝て、起きたら、ふらついた頭で、ポチポチ。

 でも、そんな生活をしていて、ふと、まともにならなきゃなあって、少し思った。恋をしなきゃ。何か叫ばなきゃ。俺も、もう三十代半ば。友人や仕事や、世界とそこそこ仲が良い人なら、何歳でも、どうにかなれると思うんだ。でも、俺みたいなのが頑張れるのは、多分あと数年かもしれないんだ。

 愚か者が叫ばなくっちゃ愛を。駄目になりたくない。駄目になる前に、大好きだって、死んでしまった人に、生きている人に言わなくっちゃ。言わなくっちゃ。そうしないと俺、死んじゃうからさ、愛してるって言いたい、今も、すぐ。