本は俺の慰め蝕み。

身体の不調に悩まされていた。仕事を初めてから、ほぼ毎日寝ても2時か三時には目が覚めて、疲れがとれない。そんな状態だから体調が回復するというのは難しい。

 ずっと、小説を書かなければと思っていて、それと同じように様々な本を読まなければとも思っている。でも、うまくはいっていない。

 何々をしなければ、というのは、精神的にはとてもよくないらしい。常に自分が何かをしていなければと思っていると、安息なんてない。でも、それで何かが好転することはなくても、小説を書いていない自分なんて、生きていても仕方がない。小説こそが自分の人生、なんて大袈裟なことではなくて、単に楽しみがそれくらいしかないのだ。

 だから、何か一つくらいうまくいってもいいんじゃないかなあって思うんだけれど、そんな願望で小説がすらすら書けることなんてない。インスピレーションを受けるとしたらきっと、それなりに健康で何かに感動出来ている時だ。

 でも、日々不調。それで、ようやく、自分の不調の一つが歯をくいしばっていることにもあることに気付いた。ずっと気づいていなかった。肉体労働をする関係上、どうしても力が入っているというか、無駄な力も入っているし、緊張が続いてずっと身体が悲鳴を上げ続けているのだ。

 ぼーっとする、ぼんやりする。それがどうしてもできないのは、この先が怖いから。自分の状況がどんどん悪くなる中で、せっかくの自由な時間すら無為に過ごす恐怖。いつまで頑張れるのか、頭が働くのか、諦めないですむのか、ということをよく考えてしまう。

回答なんて出ないし、誤魔化し誤魔化し生きてきた。これからもきっと。でも、たまに錯覚するんだ幻想を見るんだ。その方がいい。たまゆら、人生がそれなりに素敵なんだって思う。

 雑記

『美しいアンティーク鉱物画の本』読む。百年前位に描かれた鉱物の絵。植物や動物とちがい、鉱物は硬質で命を持たないから、昔の彩色技術よりも、パソコン等での方が適しているかもしれない。なのに、手描きの鉱物はよい意味で温もりを感じる、不思議な魅力が宿っているのだ。 

マグリット辞典』読む。AtoZのキーワードを元に、マグリットやシュルリアリスト達に迫る。図版が豊富で見ていて楽しい。俺はシュルリアリストの「発言」をあまり信用していないのだが、マグリットが自分のも含めた商業仕事を嫌っていたのは興味深い。彼の作品はとても複製に向いていてポップだから

橋爪節也『大正昭和レトロチラシ 商業デザインにみる大大阪』読む。大正昭和の大阪の繁華街で配布されたチラシを紹介。デパート、喫茶店、キャバレーから選挙、電鉄、遊園地まで幅広い。今のよりも、情報を語りかけるようなチラシが多い気がする。当時の美意識や生活を感じられる楽しい一冊。

だらだらと、美術や旅や食べ物とかの本を読み散らかしていた。お金がない俺は、本を読んで行った見た食べた気になる。実際の体験の方が豊かなのは分かるが、こればっかりは仕方がない。

 本は俺の慰め蝕み。