『僕はくたばりたくない』とか『どうにかなる日々』って俺に言って

少し早いけれど、母に誕生日の花やケーキや本やらを渡す。
正直、今メンタルも金銭状態もボロボロで、助けて欲しいって叫びたくなる。でも、誰かに贈り物をするとこちらも元気をもらえるのだ。その人が喜んでくれると、さらに嬉しい。また誰かに何かをあげられたらいいな。ありがとう。

 俺は色々とよろしくなかったので、家族仲はかなり悪い時やそれなりの時もあった。今の俺は、家族全員の幸福をそれなりに素直に思えるようになってきていた。

 嫌な思い出は残っている。でも、それよりも恩や家族からの優しさの方がずっと大きいのだ。これはあくまで俺の場合。もっと言うと「今の」俺の場合。家族や友人恋人だった人を許せなくてもいいと思うのだ。

 だが、もし、その人たちに何かをあげられたら、その人の幸福を思うことが出来たらなと思うのだ。

 そうしたら、俺のがらんどうの身体に灯がともる。

森山大道『Nへの手紙』読む。この写真集は亡き親友、中平卓馬に宛てた写真による私信だという。体調を崩して神奈川の自宅に戻った森山は湘南の景色を撮りながら、中平とのかつての日々を思う。俺は大好きな二人の写真家の友情を思う。ここにあるのは、少し温かい視線のような気がした。とても良い一冊

 最近出た森山大道の本の中でも一番好きな「写真」が収められていた。その上、俺が一番大好きな写真家、中平卓馬への思いが込められてるというから、二人のファンの俺にとっても胸に来る一冊だ。

 少し、嫉妬した。才能のある親友を持てるってどれだけ幸福なことなんだろう。

 最近は金の不安もあるが、小説が書けていない。つらい。俺にはなにもないのに、身体は老いてくる。単純に、日々が辛い。何も無いってつらいな。何かがあるって、思い込んでいたし、いるし、小説やら美術やら好きな物は今も変わらないけれど。でも、精神的に駄目なのかなと何度も繰り返し思ってきていて、その沈んだ思いが滓のように溜まってきている。

 ボリス・ヴィアンではないが、僕はくたばりたくない けれど、楽になりたい。小説だけ書いて、たまに絵も描いて一人で暮らしていきたいけれど、そんなことは無理だってことだ。

 人と一緒に仕事をしていると体調が悪くなって、創作どころではなくなってくる。それを苦しみながらもみんなどうにか折り合いをつけてるんだ。そうは思うけれど、もう、駄目なのかなって思う頻度が多くなりすぎていて。

 でも、まだ書きたいんだよな。くたばるのはその後がいいな

雑記

 

昔の『芸術新潮』の富岡鉄斎特集読む。そこまで好みという訳ではなく、詳しくもなかった。専業画家ではない鉄斎。歳をとるほどに作品も増え筆も冴え、70代初個展89で没する時まで描き続けている姿に感服。老年になっても己の意志を貫くことはどれだけ大変なのか。ユーモラスな作品も多く、実物見たいな

冥婚 という単語だけでも何故かとても惹かれてしまう。勿論犯罪を正当化したいわけではないのだが、これをテーマにしたノンフィクションでもフィクションでも読んでみたいなー。自分で書くには資料無いし結婚やお金に関する思いが弱いし書けない。死者との恋や結婚って惹かれてしまうテーマだなあ。

blおじさんなのですぐ頭に浮かぶ。当時特に異端視されていた同性愛を死後に叶える(親族の秘めた思いを叶える為に、死者の伯父が男同士の冥婚をして、大問題になる)その後、たまたま知りあいになった件の二人の親族が友人になる。冥婚を嗤うインテリと、彼に惹かれる純朴労働者の本が読みたい(書けよ

インテリは昔ピアニストになりたかったが挫折。それ以外順風満帆な生活を送るが仮⭕通貨で大失敗して負債を抱えるがプライド高く認められない。純朴労働者はうまく行かずにマフィアになって成功。落ちぶれたインテリと再会して、彼の指の一部を燃やして灰にしたの食べる代わりに借金返済すると提案bl

『大正昭和美人図鑑』読む。気軽な読み物かと思いきや、豊富な写真と共に当時の芸能界の厳しい差別やスキャンダルの歴史も書かれてあるし、読み応え抜群。川端康成三島由紀夫の憧れの人も見られる。その時代の嬌態、エロス、定番ポーズも知ることができる。見るにしても資料としても良い一冊。

『女の子の憧れを描いたファッションイラストレーター 森本美由紀』読む。彼女の絵との出会いは高校の頃。大好きなピチカート・ファイヴやバルドーのDVD。俺にとって日本で一番スタイリッシュな、引き算のキュートなイラストを生み出す大好きな人。その画業がつまった素敵な本。作品はいつまでも残る

十数年、読もうと思っていたのに読まなかった『市川春子作品集 1 2』をようやく読んだ。とてもとても面白かった。読みたい見たいやりたいのに、何年もみて見ぬふりをして、してないのが多くて自己嫌悪に陥ることもしばしば。でも、知らない素晴らしい物が沢山あるってのは幸福なことだ。

 多分ここ数年で一番お金に困っている。その上、歳だけ取って小説も書けていないのだからメンタルが最悪なのは仕方がないことだ。

 そんな風に思うと、まあ、僕はくたばりたくない とかどうにかなる日々 みたいに思えたらって、20代の無鉄砲な気持ちで。それでいいんだって。