刺青も花も買えない人生

短期派遣あるあるなのだが、大量に採用して、人がぼろぼろ辞めていく。

たまたま俺と数名は面倒な仕事の担当になった。それなのにきちんと教えてくれないのと質問に対して回答すると言っていてしない、でもミスの報告はどんどん上がるという状況。俺以外の人もかなり困っていたが、俺は躁鬱の症状がかなり悪くなって、お金の為に働かなきゃいけないのに、辞める相談をした。

 担当者の人はきちんと話を聞いてくれた。その後、別の人から真面目にやってくれているから、面倒な仕事抜きでつづけてくれと打診があった。

 相談した時はすぐにでも辞めたいと話していたが、面倒な仕事を免除してくれるなら月末までは頑張らせていただきます、と告げた。

 結果、その仕事は免除されなかった。どういうやりとりがあったのか分からないが、ああ、やっぱりそんなもんだなと思った。

 でも、ストレスや不安や怒りやら、仕事やら別の人間関係とかで、休みにかなりの金額をギャンブルにかけて、溶かした。

 つかってはいけないお金だった。自分でも引いた。一人暮らしをしてから今までで、一番金銭的にも精神的にもヤバイ。

 家でずっと寝ていたい。やる気が出ない。ふとした時に不安や衝動に襲われる。ここまで落ちているのに、まだギャンブルがやりたくなるという愚かさ。

 ただ、一番辛いのは、小説が書けていないことかもしれない。書きたいモチーフがないわけではないし、創作意欲がゼロになったわけでもない。でも、これからの不安と共に何を書いても手ごたえがないのがきつくなってきた。

 普通の生活が、最低限の生活すらおくれない状況。そんな時に自分だけの小説を書く余裕がない。

 愚かで、辛い。ギャンブルで負けたことに関して後悔はあるが、ずっと、自分以外には必要とされない小説を書いて来たことには全く後悔していない。でも、書けないとな。からっぽ以下だ。生きる理由が薄れていく。

 好きな物を見て触れて読んで、自分でも何かを作ることが、自分の人生の慰みであり光であったのに。

 何もできないし、生活すら困難だと、本当に終わりにした方がいいのかと悩む。でも、食いしばっている。この先のことは分からない。辛い。

 

雑記

【電子版】八敷、墨を刺す(R18)コオリオニ番外編同人誌

買う。

普段電子書籍を買わないので、買うのに一時間近くかかった笑。内容はとてもとても良かった。紙の本で欲しくなった!!
本編のサイドストーリーとしても、単品としても楽しめる。ネタバレになってしまうからぼかしてしか書けないが、登場人物のすれ違いや、通じ合っているのがほんと胸に来る。

 普段同人誌はほぼ買わない。でも、梶本レイカの商業で出ているのは全部持っていて、登場人物の激しい愛情表現とスレ違いや愚かでかっこいい生きざまがとても好きなのだ。

なかでも『コオリオニ』は本当にすきな作品で、誇張ではなく何度も読んで十回以上泣いた。主役級の三人の物語が、我が身の如く胸に刺さる。過剰すぎる愛情と憎しみ。愚かな輝き。

 この同人誌の番外編もとても良かった。愛のすれ違いが胸にくるんだ。美しい化け物になる、ピュアで悪意の欠落した翔ちゃん。彼に惹かれながらも微妙に距離をとってしまう佐伯さん。

 俺はこの二人の関係性がとても好きだが、翔ちゃんを幸せにできるのは、やっぱり鬼戸なんだなあと思う。(気持ち悪い個人的感想)

 あと、やっぱタトゥーを入れられている悪人って大好きだ。てか法律で悪人になりたいなら、全員タトゥー必須にしてほしい。 

初めてタトゥーを入れたときの事を思い出した。本当はいかついのを入れたかったが、かなりの金がかかるから別の柄で妥協した。その時は二十代で今よりもさらに短気で無職で、しかし今よりも金があったし、自分にうぬぼれていた。タトゥーを入れられて、痛みはあったが、やがてなれた

何時間も彫られていると、それなりに体力を消耗する(大きい柄は時間あたり幾らみたいな店が多い)。でも、その疲労が心地良かった。完成近くになって、有線?からニルヴァーナが流れてきてとても気分が上がった。男なら皆カートに憧れる。格好よく自殺したいよな。

タトゥーを入れて少しだけ生活が変わった。自分の身体を少し好きになった。
俺はカートの歳をだいぶ過ぎたのに、自殺出来ずに生きている。長生きするのもそれなりにかっこいいと思うけど、たまにあの時に死んでおきたかったとか中学生のようなことを思う。ヤバいね。ヤバさの治療に刺青もっと欲しいな

 でもね、金がないんだ。中年でタトゥー入れるならさ、金に余裕ないと無理だよな

 

 冥婚 は気になるモチーフだ。でも、中国の奇妙でごく一部でおこなわれている風習であるから、資料もなさそうだし俺には書けない。でも、適当な妄想は広がった。

 冥婚bl妄想の続き。灰になった二人はピアノが弾けて、連弾をしている様子を見て、叔父が隠していた二人の恋心に気づく。その後数十年、
攻めは甘やかされた華僑で、優秀で何でも出来たが、小さい頃の夢のピアニストにはなれなかった。受けは貧しい農村大家族。自分が金を稼げない事がコンプレックス 

大都市で攻めがすられた財布を、たまたま受けが取り返し、交友が始まる。自分と違ってきれいな指で、生活や性格に余裕のある彼に、受けは惹かれていく。攻めの人生は順調だが、受けは何をやっても上手く行かず、家族の為に麻薬の密輸に手を染め、成功して大金を得る。初めて家族に褒められ

大都市で攻めがすられた財布を、たまたま受けが取り返し、交友が始まる。自分と違ってきれいな指で、生活や性格に余裕のある彼に、受けは惹かれていく。攻めの人生は順調だが、受けは何をやっても上手く行かず、家族の為に麻薬の密輸に手を染め、成功して大金を得る。初めて家族に褒められ

(マフィア、ヤクザ)という新しい、薄っぺらな家族を得た事に気づき、自嘲の大笑い。誰かのためではなく、欲しい物を手に入れようと決めるが、色んな物が彼には石ころに見える。一方順風満帆だった有能な攻めは、仮⭕通貨で大失敗をして大きな借金を抱える。しかし現実を見ることができない

しかし支払の電話や金策に追われて頭がおかしくなってくるし、家の中の物を売り払う。そんな時、昔買ったしょぼい電子ピアノを見つける。値段がつかなかった物だったが、一応音は出る。本当はピアニストになりたかったと現実逃避をしながら、親に従い大学で経済を学ぶのではなく、音大に行きたかった

なあ等と昔を懐かしみつつピアノを弾いてみる。若い頃馬鹿にしていたショパンやサティが、なぜか美しいと思えてきて、グランドピアノで弾きたいな、生活を立て直していいピアノで音を出したいと夢見る。しかし働くのではなく闇金金策をして仮⭕通貨。失敗をして、どうしようもなくなりボコられ

いるときに、チンピラの兄貴分である受けと数年ぶりに再会。人払いをして、二人きりに。暇つぶしに、攻めの転落ストーリーを聞いていたが、突然、昔の感情を思い出す。彼が、彼の美しい指が欲しい。冥婚をした親族の愚かさを想起し恍惚。

君の指を灰にして食べたいよ
その後で、連弾しない?

 

 その場の勢いで書いた妄想ではなく、形にしたいなあ、でも日本でこれを落とし込むのは薄っぺらくなりそうだなあ。難しい。でも、妄想できて楽しかった。

名取洋之助 報道写真とグラフィック・デザインの開拓者』読む。米『LIFE』で活躍、日本の雑誌でも編集者として敏腕を振るう。かなり厳しい人らしく、気に入らないと土門拳のプリントを破り捨てたそう。芸術写真にも嫌悪。しかし、彼の写真は明朗でセンスが良い。彼の歴史に触れられる良書。

『知られざるアメリカの女性挿絵画家 ヴァージニア ステレット』読む。31才で亡くなったという、彼女のイラストをまとめた一冊。その都合上収録数が少ないのがとても残念。だが、彼女の絵は日本画アールヌーボーやらの影響を感じる素敵な物ばかり。彼女のイラストを纏めてくれた監修の海野弘に感謝

千 宗屋『茶 利休と今をつなぐ』読む。茶道に通じてないし経験もないのに、利休についてはとても気になる存在だ。利休についての本は山ほど出版されている。本書は通俗的な、作り上げられた利休神話へ苦言を呈しつつも、茶道の魅力について語っている。利休について、真剣に語る人は素敵だ。

それはどこか、仏教やキリスト教に通じる気がする。偉大な存在が亡くなっていたとして、弟子とかがまとめた本は本人の考えとは差異があるだろう。本当のことは本人しか分からないけど、残されたものの大きさから、何かを感じ取ることはできる。門外漢のおれにとっても、一生の宿題になりそうだ。

監修・解説『366日物語のある絵画』読む。その名の通り、とても読み応えのある一冊。著者は物語絵の歴史を、絵画が宗教や観念から解放されたルネサンスからはじめる、と語っている。宗教的な大きな物語から、世俗的、個人的なイメージのはばたきへ。美も物語も変化し、広がる。その歴史に触れられる。

 

 十年近く前にも、人生の危機があった。それ以来、今が一番人生としてまずい状況下にある。あの時は二十代だから耐えられたのかな。三十代も後半戦になってきた今は、もう駄目なのかなとよく考えてしまう。

 ずっと耐えてきてうまくいかなくって。そんなの皆人生で当たり前の話なんだけれど、俺はもしかしたら人よりとても過剰に苦しいとか嬉しいとか叫んでいる。それで、普通の人が乗り切れるようなことで一人でパニックになって、それが続いたまま、幕が下りようとしているんだ。

 死ぬ前にしたいことってなんだろう。もう少しまともな、下手なりに画を描いてみるのと、きちんとした本を出したいな。自分でかいた、思い入れのある小説があるから。

 でも、同人誌ではなく、装丁とかにこだわったら何十万かかるのだろう?

 自分以外に一、二冊売れるか? みたいな自己満足の為にそんなことをする意義って。

 でも、数十万、ギャンブルで溶かしてなかったらあったんだよな笑

 失ったお金は取り戻せないし、もっと深みにはまって、本格的借金地獄になるのかな。数十万だか数百万を苦に自殺するなら馬鹿みたいだな。 でも、追い詰められた人は、そういう風に脚をふみはずしてしまうのかな。

 この先の光はみえない。だが、今は薬に依存して歯を食いしばっている。