おえかき療法
仕事がとても忙しい。自分としてはかなり時給が良い仕事を見つけたのだが、その分服装はスーツで仕事も覚えることが多くて、やれるか?ってな日々。
でも、やらないと後がないというか、借金は過去最高額。三十代後半戦、人生もう終わってんなって感じだ。
小説はずっと書けていない。構想の欠片はあるが、支払いと疲労でそれどころではない。
でも、誰かの作品を見なければ、感動したり何らかの刺激を受けなければ作品をうみだすのは困難だ。
まともに映画を見たのは何か月前? ずっとギャンブルに、不安に依存していた、愚かな俺。そのせいで大切な物を沢山手放して、報いを受けている。
作品作りに専念したいって思っていたのに、借金返済に追われる日々。これがあと何年つづくんだろう。それを終えた時、俺は多分40代で、そしてまともな人間になれているだろうか、希望を捨てずにいられるだろうか。
下らない悩みは尽きない。でも、久しぶりにアクリルで画を描いた。絵具でちゃんと絵をかく、というのが十代の頃に諦めてしまったことで、一年位前からちょこちょこかいていたのに、ギャンブルと借金でそれどころではなくなった。
ずっとかけなかったし、書く気がおきなかった。でも、先週と今日の休みで一枚づつ画をかけた。稚拙だなあ、十代の高校生のえだなあ、そう思ってしまうけれどお絵かきはたのしい。身体に良い
十代の頃、自分には写実的な画を描く力が無いと思って画を諦めて小説を書くようになった。漫画もパースがとれないし机が無いから諦めた。映画関係は人と関われないから諦めた。色々諦めたしできなかった人生だけれど、一人でやることならば、まだぎりぎりできるのかもしれない。
絵画療法なるものを目にする時があるが、俺は本当に画を描くことや物作りは健康に良いと思う。おれはすぐ、上手い人の作品と比べて、自分の作品をこの程度かよって思って無意識に採点してしまうのだが、それでも、画を描くときは雑念から遠く離れている。
鳥のこと、花のこと、リスのこと。対象のことをじいと見て、その姿を作り出したい見たい触りたいと思う。
おえかきができるなら、まだどん底ではないんだな、俺。
アクリル絵の具が少し減ってきたし、また0号の絵筆が死んだし、出費ばかりの人生だけど。
諦めていたし、この先明るいことなんてないとしても、自分で明かりを探しに行かなくっちゃ自殺より哀しい。多分。
(楽しく)小説を書くことは、俺が何かを楽しんでなければかけない。借金に追われて抗不安剤と抗うつ剤を飲みながら、たのしみなんて考えられないよ、って毎日思ってる。それでも明かりを探して彷徨うしかない。
絵筆を、かすかな明かりにして。