エニ プラネタ

 体調が悪い。別に珍しいことでもないのだけれど、特に悪く眠りたい、のに眠れない。横になってもちっとも眠れず、形態電話で時刻を確認する度に(これをしてはいけないことを知っている)いらいらしてきて、開き直ってパソコンを立ち上げたり本を読んだりゲームをしたり、なんてしていたら良くなるわけがない。でもじっとしているのは嫌いだ。

 暮らす上で何か、を我慢しなくてはいけないのだけれど、俺は生活に関わるあれやこれやを我慢していたつもりだった。でもそういったもののつけが回ってくる時は必ずある。

 先日友人が面倒な病気になった話を聞かされた。俺とは違ってその人はサポート体制がととのっていて、友人として、その点においては、とてもいいことだと安心した。そして俺が出来ることは話を聞く事と、「遊びに行こう」と言う事だろう。

 その友人の病気についてネットで検索していて、つい、色んな病気やらを目にしていると、本当に体調が悪くなってきた。自分で馬鹿過ぎると、甘えてるんじゃんと思うが、悪化した体調は変わらず。

 というか、色々な劣悪な条件が揃っているのだから、俺がいつ、病院に行かなければヤバイことになるとしても不思議ではない。というか、今、体調がとても悪い。

 駄目人間スパイラル。気の持ちようだそうに違いないしそうじゃないとしてもゆっくりしていたらじきに回復するだろう、多分。ゆっくりするのが嫌いなんだ。

 久しぶりに、体調管理について考えざるを得なかった。今日はほとんど食べなかったから食事代超安いぜ、なんて喜んでる場合ではない。多分危ういバランスの上に立っている俺。それは俺だけじゃない。それに、それを選んだんだよね? 自己責任論にまつわるあれやこれや、は置いておいて、だって、俺、どの時代だって、きっと今のままだって、俺のままだって、そう思うから。

 CDを沢山レンタルしている。CDを買うお金を節約する為に。今月の半ばで既に15枚以上レンタルしていて、少し前、また7枚オンラインレンタルで申し込んだ。旧作なら七枚で1000円だから。超安いね!! 

 馬鹿みたいに借りることが出来て幸せだ。消化しなければならないのは分かるけれど、借りているのは消化しやすいのばかりだし。それに、とても聞きたいCDは、大抵レンタルにないのだし。

 そんな中の一枚、Plastic Treeの『プラネタリウム』を聞いていて、サビの部分の歌詞でにやけ笑いが止まらなかった。

「何もない僕は どこへ行けばいいのかな
 ずっと乾かない 涙がどんどん溢れた」

 ですってよ!! なよなよした頼りない声で、頼りないバンドサウンドで、超キュート(一部の人にとって)!! この歌詞がおかしいのかこれを聞いてにやついている俺がおかしいのか、どちらもおかしくない。

 後、Ram rider の『卒業』って曲もやばかった。曲調はモロ、モータウンサウンドっていうよりモロ、The Jackson 5 のI want you back!! 「オーベイベ ギブミー ワンモーチャーンス 」ってマイケルが歌う、サビを聞いたら題名でピンと来なかった人も「あ、あれか」と気付くような超ポップで有名な曲。

 それをヴォーコダーボイス・ダンスミュージックに仕上げている、ハッピーなナンバー。で、この歌詞もヤバイ。

「そういつだって僕は イカすNO2タイプで
 勉強だってできるし スポーツも嫌いな方じゃない

 でも何でだろこんな風に 君の前に立つだけで
 用意していた言葉が ため息になって空に消える
 
 でもこれだけは伝えたいんだ!
 
 ありがとう特別なDAYS!
君がただそこにいるだけで
 ほんとサンキュー! 偶然でもいいよ
 唯君がそこにいれば」

 特にサビの「ありがとう特別なDAYS!」からがとっても盛り上がる、もろモータウンサウンドの、ハッピーな曲調だ。ヤバイね! 曲もいいけど歌詞がヤバい! にやにやが止まらない。

 鶴見済が可愛らしい『人格改造マニュアル』という自著でハッピーになれる曲をアンケートで募集していて、その中でやけにソウル系のが多いとぼやいていたことを思い出す。その中のハッピーな曲を作るアーティストを、鶴見が「こいつロボトミー手術受けたのか?」みたいな感じで突っ込んでいたのは面白かった。でも大丈夫だ、俺たちみんな、気が合わないあの人だって、皆仲良くロボトミー

 ハッピーなミュージック、ソウル、ダンス、ハウス、俺にはありえないような、歌詞やら精神、ソウルやら。でも、曲さえよければ、俺もハッピー、にやにやする

「ありがとう特別なDAYS!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その『卒業』の次に入っているANY COLORS(REMIX)という、バックでモロヴォーコダーボイス、っていうか、ベタな機械男声で色を言い続ける曲も良かった。ミニマルな繰り返し、って、ダンスミュージックってそういう構造でしょ。 気持ちいい。ダンスミュージックはどうしようもなくさびしく、幸福な気分になる。英語で色をずっと言い続けるのを耳にすることの出来る幸福。

 でもこの曲は歌うのには相応しくない。


「何もない僕は どこへ行けばいいのかな
 ずっと乾かない 涙がどんどん溢れた」

 或いは

「ありがとう特別なDAYS!
君がただそこにいるだけで
 ほんとサンキュー! 偶然でもいいよ
 唯君がそこにいれば」

 と俺は俺達は歌うべきだ。家にいる時に道を歩いている時に部屋の中で、周りの人に聞こえないように迷惑にならないように。そして、疲れているならば眠るべきだ。おやすみなさい。後、俺は俺の身体にも謝るごめんね。