2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

枯れなければ花々は燃えない

ル・クレジオの『海を見たことがなかった少年』を読み、これこそ、俺が思う「ライトノベル」だ! と感じた。少年少女の、きらきらした息吹き、消えてしまう、その息づかい。この本はル・クレジオの著作の中ではかなり読みやすい方だと思う。若者向けに書かれ…

拙者不器用ですからだってばよ

ピンクのシャツを着て仕事場に向かえば洋服に全く関心がないであろう気のいいおっさんからその服はオカマっぽいと言われ、勤労意欲はないしすぐ泣くしゲームばかりやっているし、まっこと、男らしさの塊のような俺は腹立たしかったのだが、男らしくぐちぐち…

また増えてしまいましたが

初めて小説を書いてみよう、と考えた時に意識していたのは、もの派、というよりも、誰も住むことのできないアルテ・ポーヴェラ、というようなもので、もっともデュラスもロブ・グリエも好んではいなかった俺にはそぐわなかったのかもしれない。ミニマルなも…

わるいひとたち

わるいひと、と口に出してしまうことがあり、それは昼間から言えるようなものでもないしまして、こんな日記として残すには気恥かしいもので、狭い薄暗いアルコールの入ったいや、出来上がった空間において成立されるような性質の言葉で、俺はその「わるいひ…

そう、それではありません。

「私は哲学は持ち合わせていません。今は持ち合わせていません。私にとって映画をつくるということは、探偵なり裁判官なり検事なりになって、法廷に証拠物件を提出するのと同じようなことです。またそれがなんの証拠物件なのかを発見しようとするのと同じよ…

君の瞳のジルコニア

柔らかく、時間を拘束して貰う為の数本の、期待していないフィルムの中の一本『いのちの食べかた』がとても良かった。食べ物がどのように作られているか、その工程を映したドキュメンタリー映画だ。ただ、そこに人間の余計な音声はない。これはオーストリア…

ディスイズスティルオーケー

首にしてくれ首にしてくれ首に、と思いながらする雑務、それにしても首、って中々インパクトのある言葉だと思う。首。彫刻で頭部の像の事を何故か「首」と呼ぶけれど、舟越保武の萩原朔太郎の「首」は結構好きで、保武自体はそこまで好きでもないのだけれど…

ゲーム

「こっちも仕事でやっているんです。あんたもしっかり働いてください」 と、電話口、俺がひっくり返った声で叫んだら、相手は少しだけひるんだようだったけれど、その後でまた言い訳と嫌味を繰り返し、とにかく相手にこちらが伝えるべき、相手がしなければな…

もうすぐ倍っすか

十四歳の世渡り術シリーズの中の一冊、森達也の『神さまってなに?』を読みながら、ぜひ十四歳に読んで欲しい本だな、と思った。 森達也はドキュメンタリー、ノンフィクション作家、という位置づけで、やはりオウムを内側から撮る、「A」で有名になった人だ…

宿題について

2006年に発売されて、その時から買おう、読もう、と思いつつも手を出していなかった本江邦夫『現代日本絵画』、の特に序章が刺激的、というか、考えさせられた。以下かなり長い分量を引用してしまうのだが、俺の書いた文章ではないし、できれば目を通し…

青い空

雑な性格をしているせいか、ipodに使用しているイヤホンを2、3ヶ月周期で買いなおしている。普通はどの位もつものなのだろうか? 俺の場合、いつのまにか断線してしまっているのだ。一生、というか5年とか使えるなら高価なヘッドフォンを買ってもいいんだ…

きみのきわめてよいふうけい

映画版も見たかったのだが、それは難しいので本で見る『きわめてよいふうけい』とは、回復後の中平卓馬を撮影したホンマタカシの薄っぺらいお手頃な定価のしかしアマゾン先生なら定価の三倍の値が付いてしまっている写真集。肩の力が抜けまくった中平との対…

ブラッマーケブルースでお前を

また、仕事を探しているのだと告げると「お前遊牧民みたいだな」と言われてしまい俺「ゆーぼくみんすか、か、かっこいい……」と思ったのだが俺に「遊」はあっても「牧」はなくむしろ(以下略) パーキッツのパラボラという曲がすごい良くて、数ヶ月前からアル…

赤紙貼り剥がし

購入してしまった、『ゴダール全評論・全発言』のⅠとⅡ。正直Ⅲも購入するつもりだったのだが、新品9000円中古8000円って! なめてんのかよ馬鹿じゃねえか、と腹が立ったので買わなかった(腹が立ったなら仕方がないよね!)、けど、後で買うと思う、…

ここ数分の感じ

高見順の『いやな感じ』を読み終え、すごく良いというか主題に合いすぎている題名に思いを巡らせた。『いやなかんじ』でも『嫌なかんじ』でもなく、読了後の感想は『いやな感じ』だった。あの感傷的で元気いっぱい、と言ってもいいだろう内容の小説の題が『…

声がしない方へも

2005年に発行された、峯村敏明の『彫刻の呼び声』を読む。美大教授の彫刻に関する評論集で、古いものは30年前にもなる、というか収録されている物の大半が70,80年代に記されており、ドナルド・ジャッドに関しての言及が目立った。 彼の名前を意識…

よいふうけい

結構な量の結構な物を売り払い自分としては結構な金銭を手にしたのだがこれが全てこれからの求職費、生活費やらカードの支払いに消えるのだと思う。結構結構。 中平卓馬の写真を最初から好きだったわけではないのはきっと、彼の回復後の写真が初見だったから…