ぼくはなつやすみの延長戦で

 うだるような暑さ、てか、空気がこもった家の中よりも外の方が涼しいでやんの。でも家にいることばかりの俺。

 アキト&ショコラ夫妻のトロピカルっつーアルバムをくりかえし聞いていた。題が夏にぴったり? いや、アキト率いるgreat3のマッケンタイア先生がプロデュースした超名盤『when you were a beauty』がショコラの分だけ甘くなった、みたいな、いつまでも続くような気がしてしまう、不機嫌なバカンスのような。

 俺の生活も終わってくれない夏休みのようだ。バイトが人間としての終わらない補習、みたいな位置づけで。

 終わって欲しいのか終わって欲しくないのか、そんなことは分からない、しよく考えてもいない。

 にしても、一応、「うわーーー」みたいな気分になっても、収入があるってのは気分の安定に繋がる。久しぶりにくるりの『TEAM ROCK』や『図鑑』も聞いてみた。高校生の時に聞いて夢中だったくるり。『青い空』の歌詞、「伸ばした髪は 僕の目や耳を ふさいでる こんなことはいいたくないのさ こんなことはいいたくないのさ」ってのは、当時からずっと、俺の気分、早く、この俺の汚い茶髪が伸びて欲しい。

 でも髪が長くたって、それだけでは駄目になるってことをさすがに学習した大人の俺。大人、のはずの俺、なんだけれど、実際にはおとなでも子供でもなく、まだまだ夏休みの途中で、太陽から身を潜め。

 ししょのしかくをとるのににじゅうまんいじょうかかるって。

 ふざけんな、と思って複数請求した資料を全て捨てたのだが、また、資料を取り寄せている。しかくをとったからって、保証も展望もないのだけれど、これから先、不機嫌なバカンス、というよりもむしろ、暗い太陽の下でのバカンスを過ごす時に、身を隠す庇位にはなってくれるのでは、と思ったのだ。庇位でも、俺にとっては余裕ができることもあるだろうと思ったのだ。

 金金の話、ばかり考えている。にしても、無職時代よりかはその時間は減ったように思う。仕事があってもなくてもぐじぐじするのは目に見えている。贅沢をしたいのではなく、なるべく金のことを考えない生活がしたい。しかしそれに耐えられるような能力やら気力やらなんやらを自分は持ち合わせていないことは承知している。でも、どんな条件だって、俺はバカンスが、結構好きだ、と思う。分からないけど、好きかもしれないって思う。

 最近はごたごたしていて、小説が全然進まず、いっそガチでどっかでぼーっとしようかな、ともよく考えていた。ネトゲで電子の世界に旅立つとか物価の安い東南アジアで数ヶ月貧乏生活をしにいくとか。

 でもそれはそういう選択肢もある、ということだけで、とりあえずは大丈夫だと思う。以前だったらそれって逃避じゃねーの?という見方が強かったのだが、今はそんなにそれが強くはない。というよりも、色々なものを捨ててもいいんだって、自然にそう思えるようになったのだ。

 部屋には山積みになった本が幾多、狭いワンルームをさらに圧迫して、暑苦しく。俺はこれらも捨ててもいいような気分になる時があるけれど、それを実行する日は来るのだろうか?それがなつやすみのおわりになるのだろうか?とりあえず色々分からないのだが、ぼくのなつやすみはまだまだ延長戦で