キョンキョンのあなたに会えてよかった聞いてん

Tシャツだけでは涼しすぎる日がちらほら、でもTシャツ一枚でふらふらしている。後数日したらシャツを羽織るようになるだろうか?少しだけ不思議な気分がする。寝る時に開けっ放しの窓もタイマーをつけて寝る間に回しっぱなしの扇風機もそのままで、風邪をひいた。

 風邪をひくといつもとは違う気分になる、なんてことをわざわざ書いている自分が少しおかしい、でもそれもこの季節のせいってことにして。

 哲学の塾に行ってきた。教科書はサルトルの『存在と無』。知ってはいたけれど、自分が真面目に哲学と向き合ってこなかったってことに気づく。講義はわかるよそんなの、ってのとわかんねーよそんなの、って感じで、久しぶりに大学の講義を受けたみたいで中々面白かった。でも、問題は講習料のことだ。月一万程度だけれど、頑張って今より働くぞーおーみたいなことをするわけがない。でもそれもこの季節のせいってこと、ではない、けど、

 セプテンバー、って題名の曲をふと思い出し、ラッドのは若すぎるしアイコのは甘すぎるしアースのはハッピーすぎるし「すみれ」のはありえないし、けど、クレイジーケンバンドの『せぷてんばぁ』は、なんだか今の気分にぴったりだった。

 横山剣の声はすごくいい声だと思うけれど、少し苦手というか、ねちっこすぎて(サラ・ヴォーンの声というか歌唱法も苦手)あまり曲を聞いていないけれど、この『せぷてんばぁ』はボサのリズムにセンチメンタルな歌詞に抑え気味なヴォーカルが乗って、かなり聞きやすく、また、お気に入りの曲だった。

「どうして 皆 別れ間際に 綺麗な嘘をつくのでしょう 二度と顔も見たくないのに 友達でいようなんて」
横須賀線の最終が 車両基地で眠った頃 私も冷たい九月の海で 泣きつかれて眠りました 泣きつかれて眠りました 明日は会社を休みます」

 これはサラリーマン(おそらく)の失恋の歌で、俺の状況とは全然違うけれど、今の気分だった。特に最後の明日は会社を休みますってフレーズがいい。まるで俺も仕事をさぼったみたいな気分に、少しだけなれた。

 仕事を辞める経験は多々あったけれど、サボったことはなかった。その代わり、高校時代はしょっちゅう学校をサボってふらふらしていた。大学に入ったらどうにかなるかな、と思いつつ、そうでもないかも、とも思っていた。金がないので本屋で立ち読みをして時間をつぶした。六本木のABCの階段で座り読みをしたこともあった。今思うとあつかましすぎる行為だけど、八年位たって、サルトルちゃんの文庫本三冊5300円買ったから許して欲しい。許してもらったって、ことにする。

 自分の居場所、なんてものがあるとかないとかは考えないけれど、行く、行きたい場所があるようなないような、不思議な気分になっている。高校の頃から変わっていないんだ、と思うと、あほみたいなのだが、あほなので仕方がない。今でも皆ができていることに「なんで?」と思ったままだ。

 にしても、金は使うべきだなーとぼんやり思った。使うかねがねーってのはもっともだけれど、それにしても、新品の本を購入するのは何ヶ月ぶりだっただろう。新品の本を買うのはやっぱり楽しい。好きな本、好きなものを考えもせず手にする幸福。今の通っている塾もいつやめたっていいんだし、バイトだって辞めてもいいんだし、少し気分も、風邪も軽くなったようなこれも季節のせいってことにして。