バトルリボーンハーディン様

リボーンの最新刊が届いてわくわく。読み終わって、ネットでの評判を見てみると、いつものネガキャン状態で、ああまたかーと思う、けれどその多くの否定的な意見は的外れとも思えないのだ。というか、(ジャンプの)長期連載漫画って、そういう風な、要するに「こういう構造はエンタメ的にどうよ?」という切り口で語られることが多いような気がするのだ。

 リボーンの場合だと、展開の早さもそうだけれど、その章の「ラスボス」や「ラスボスの配下」との戦いよりも「中ボス」との戦いの方が盛り上がっているのはどうか? というまっとうな、そして実際当たっている意見があり、エンタメ的にはそうなのだが、実際に、一番悪い奴があっけなく死ぬことだってありでしょ? あるでしょ? と思う。というか、それはナシなのか? と思う。

 RPGでは一番最初の街付近の敵は弱く、主人公が経験を重ね(ステータスが上がり)進んでいくにつれて、徐々に敵が強くなるようになっている。格闘ゲームやらシューティングやらでもこういった構図はある。皆そういうものだと思っている。けれど、そうじゃなくても楽しいものはある。ロマサガとかメタルマックスとかウェルトオブイストリアとか、最初から絶対勝てない敵(がいる場所)に戦いにいけるゲームはあるし、そういう方が好きだ。良くも悪くもバランスが悪いゲーム。だってゲームって普通にプレイする分にはあまりにも親切すぎる(売り物なのだから当然なんだけど)から、ちょっとくらいおかしい方がいいと思う、何て言っているのはとても少数意見なのだと思う。エンディングがスキップできたり、一分しないで終わるのとかでも、全然オーケーだ(勿論「あ」とか思ったりするけど)。

 とか書いていると単に俺が「超展開」とか「クソゲー」好きなんだろ、とか思われるかもしれない、っていうか実際そうなんだけれど、リボーンに関しては、女の子同士で仲良くしている、気遣いあっているシーンとかをちょこちょこ描いているのは非常に好感が持てる(少年漫画なので、男の子同士の友情は沢山書かれているので)。というか、作者のキャラクターへの愛情が伝わってきて読んでいて楽しい。あと、主人公のツナがジャガーさんのピヨヒコ的なポジションなのが好きだ(ギャグ漫画のジャガーより当然マイルドだけど)。ガビーン、的な。

 なんか、エンタメなんだから少年漫画なんだから、その構造にのっとったものを作るのが正義、みたいな意見が圧倒的多数派なのは分かるけれど、そればっかりなのって息苦しい。エンタメって少年漫画って楽しむものだとするなら、それを楽しむか、そうじゃないなら別のものを楽しめばいいのになーと思う。文芸とかの世界でもそうかもしれない。だってさ、否定的なというか愛情がないようにしか思えない人って、メタ視点に立って「ぼくちんのちず」を作りたいだけのように見える。書いている人も作品にも敬意を払わずに。

 中学生の時に友人とバトルロワイアルの映画を見に行った。あー人が死にまくる映画なんだ、と思った。仕方がないのだ。二時間の映画の中で42人が殺し合いをしなければならないのだから、そういう映画にならざるをえない。今日、その頃から多分二倍近い年齢になってその小説版を読んだ。文庫本二冊で約千ページだった。一日で読めた。どんどん時間が経っていくのに後ろめたさを感じながらも(別にエンタメ小説をずっと読んでいるから、ということではなく、何にせよ割とこう言う気分にはなる)気分が良かった。

 この本は最初はそのショッキングな(そうか?)題材から落選罵倒賞賛、二転三転してようやく本になってバカ売れした(らしい)のだが、普通に、エンタメ小説で面白かった。色々と「えー」と感じる部分はあるにせよ、楽しかった。エンタメ小説って、そういうものだと思う。文庫版で追加された作者のあとがきで「(幻想の、ロックロールの)アメリカに憧れていて、ペーパーバックみたく読み捨ててくれれば、そして一時の楽しみになってくれれば幸いです」とかいう趣旨のことが書かれていて、それも好感が持てた。この本の中には管理社会でどう戦うのか、みたいなテーマが一応あって、それが作品中に昇華されているとは思えないけれど、そういった何かと戦う意識とか何かに耽溺する姿勢って、エンタメ小説では、少年漫画では特に、すごく大切な部分だと思う。モノづくりなら何でもそうだけれど、作者が楽しんでなくっちゃあ、ねえ。

 最近やっと、リボーンのおかげで少年漫画読めるかな読もうかな、と五年ぶり位にジャンプを読んでみた。で、読めそうなのがリボーンしかなかった。他の作品がつまらないといいたいのではなくて、やはり途中から入り込める幸福なんてそうそうあるもんじゃない。でも、やっぱりナルトは漫画の構図とかがすごくいいと思った(パラ見しただけだけど)。スッキリしているというか、視線誘導とか、鳥山明を思い出した(俺は特に鳥山のファンではないけれど、「漫画」はとても出来がいいと思う。すっきりしているのだ、イラストではなく漫画としてどこのコマに何を書けば全体として機能するかを熟知しているのだ)。

 少年漫画リハビリ、というか本当はずっと、アニメも見たいと思っている。でも、アニメってやけに長いというか、マジで何十何百(!)時間も見なければいけないなんて、よく皆できるなあと思う。俺はめちゃくちゃ落ち着きがないので、二時間以上の映画を見るのも苦痛なのに!(だからゴダールの映画大大大好き!)本ならページをめくれるしゲームならボタンを押せる、些細な行為ではあるが、それが連動している。アニメは、勝手に「起こって」くれる。しかも俺らの好みの出来事が(そういう作品を選ぶ限り)! それって何だか怖い。

 何年も見たいけど見ていないアニメ、アクエリオンエウレカ、ローゼン、ガン×ソードグレンラガンウテナフリクリ、アベンジャー、ぱっと思い出せるだけでこんなにあるよ! どうしろってんだよ(ちなみにローゼン・メイデン以外はストーリーをほとんど知らない)! 


 アニメって、俺にとっても、とっても都合が良くって、だからどこかで敬遠していたけれど、ちゃんと向き合っていかなきゃなあと思う。ゆら帝の「クレイジーワーアー 漫画の世界もー 本当はーあー 楽じゃない 」ってことを、近頃良く考える。アニメの世界も、大変だと思う。大変だよマジ、だってあんなことばっかやらされてやる羽目になって、なあ? だから、アニメの漫画の登場人物みたいな人達の作品に触れるだけではなくて、俺もそれに付き合っていきたい。あ、その前にハーディンブチころさなきゃ。