サイバーわくわくマックスさん

ネクタイを締めて鏡を見る度に、まるで、初めてコスプレをした、ような錯覚におちいり口元が緩む。コスプレは、したことがない。

 情報系の仕事に応募して、面接で何故かしゅうかん「ぶんしゅん」と「しんちょう」を「たまに」読んでいます、と嘘をつく。嘘、とはいってもまあ、月にちょろっと立ち読みはする、位で、嘘、とまではいかないのだが、3、40代の面接官が少し驚いたような反応をして、
「いや、でも、週刊誌って全部品のないものですから」
 とかいう言葉を付け加え、本当に、俺は仕事にも面接にも向いてないな、といい終わり即座に思った。

 週刊誌は全て下品な物だ、といっても嘘ではないし、それが週刊誌の価値を減ずるものでもないし、俺も、「みんな」のように下品を反省もなく、有用なものとして、楽しんで、消費しているのだ。でも、そんなことを面接の際に言うべきではない。

 それにしても、購読層の中心が4,50代の、ゴシップ好きでありながら日本の将来を憂いている人が主な購買層(だと思う)の雑誌を読んで下品、とか、こんな奴を部下にしたい人、というか企業なんてあるか、と思った。プラスアルファがあるならともかく、「会社で役立つ能力」がない俺のような人間は、バカではなくて、要するに使いやすそう、使うのに問題なさそうであるべきなのに。

 でも、俺はうかりたくもなかったのだから、正直な気持ちが出たともいえるだろう。仕事したいわけないだろ、な?

 最近ゲームに何だか熱中していない。とか言いつつ、最近楽しんだゲームは『世界樹の迷宮Ⅲ』『DSエルミナージュⅡ』『ファイアー・エムブレム』と、最近発売されて、しかも評価も質も高いゲームばかり、なのに、やり込み要素が豊富なゲームばかりなのに、あまりハマらずに、さっさとプレイして、さっさと売り払った。高いゲームを手元に置いておけるような生活をしていない。すぐに高額買取の値段は変動する。どんどん、プレイして、売り払って、繰り返さなくっちゃ。

 でもそんなことが原因ではなくて、多分、すこしだけ、ゲームに飽きてしまったのかも、なんて考えが浮かぶ。他にプレイしたゲームもさっさとクリア、或いは見切りをつけてしまう。いや、そうじゃない。やりたいゲームはまだまだ沢山ある、けれど、それを手に入れるには金、金を稼ぐには労働、という流れに、萎えているだけなのだ、夏の気温みたいな、いや、いつもの、そんな状況で、ゲームソフト売り場で見つけたメタルマックス3、最近発売されて「おーやりたいなー」とかずっと思っていたんだ、で、中古のくせに値段が5000弱しまして、なめてる値段設定、なのですが買ってしまってやってみればめちゃくちゃ面白い、というか、スゲーはまった。サイバーパンク的世界で、何かよくわかんないけど(一応記憶を取り戻す、とかそんなんあるけれど)戦車手に入れて賞金首殺すぜ!! みたいな、ファン待望の(ADVのリメイクや前作のDSのはファンでもいらつく出来だった)「メタルマックス」の世界で、敵が強すぎたり、結構楽勝だったり、いい意味で大味な(絶妙な)ゲームバランスが最高だ。

 ぶっつづけでディーエスとにらめっこ。それに疲れたら漫画、や漫画みたいな小説(TRPGのリプレイ)。漫画とかゲームばっかりの生活。小説なんて美術書なんて読まない素敵な生活。小学生的無職生活。楽しい。無職って、楽しい(一応あと一回勤務あるけど)。

 そうだ、無職が楽しいって、忘れていた。お金の事ばかり考えて、いや、それが当然だと思う、金にこびないなら他人に媚びることになるだろ、でも、無職って、楽しい。明日の予定をたてる。楽しいことを考えて、それが脆い夢であっても、無職って、楽しい。

 ていうか、やっぱりゲームも漫画も好きで、楽しめて、よかった。そんなあたりまえのことを再確認して、よかった。てか、最近サイバーパンクが気になる。思いっきり、トーキョーN◎VAガープスメタルマックスの影響だけど。ちなみに有名どころとしてあげられるマトリックスとかブレードランナーとかディックの小説「すら」ほぼ見たことないです。SF的なの苦手なんだよなー。AKIRAもすげーとか思いつつ、引っ越しの際に全巻売ったし、ていうか大友全部売っちゃった。読みたい。

 つーか、ぶっ壊れた後の世界、って、いいね。ヤバいねこの発言、あ、ヤバくないか、イタイだけか。でも、マジさ、ぶっ壊れた後の世界ってわくわくする。東京で、(勿論俺も含めて)沢山ヘヘイヘイになればいいのに。わくわくする。勿論、そんなことが起きなくたって、俺は東京で、そこそこ楽しめる。でも、こういう幼稚なぶっ壊れ願望は、俺の現実逃避的な願望とは少し違うものだと考えている。ムルソー君が「誰でも少しは愛する者の不幸を望むものなのだ」みたいなことを口にしていたと思うけれど、異邦人でも非人間でもない俺も、そう思う。単純なことでわくわくできるのは、自分でも長所だと、そう思っている。

 ぶっ壊れわくわく。大切なのはわくわくすることだってそう思う。いつまでもこうでもないけれど今はそう。