神様の骨はビスケット
「彼の眼から、たるんだ眼瞼の下へ瞳が溶けて流れた眼窩から、蜂の群が飛び立つ。市街戦の銃弾に斃れた若者を食らうのは、若い勇士を食い平らげるのは、容易なわざではない。ひとはだれしも太陽にひかれる。私の唇は血まみれだ、そして指も。歯で私は肉を食いちぎった。普通なら、死体は血を流さない、君のは違う」
ジャン・ジュネの『葬儀』を読み直した。あまり再読はしないようにしようとはしていたのだけど、こんなに魅力的で面倒な文章ならば仕方が無い。
目に付いた物を無作法に喰い散らかした後で、俺は惰性で皿を舐める。好きな作家は、もう、大抵読んでしまったから。新しい作家で、死にそうな人が見当たらないのが寂しい。
萩尾望都の本を始めて読んだ。以前から名前には何度もお目にかかっていたので、期待しながら読んだ、面白かった。そういえば、最近はあんなに読んでいた漫画も読んでいない。
ヴィスコンティのような、上品なメロドラマ。『残酷な神が支配する』って題名も好きだ。俺の人生は、まるで『低俗な神が支配する』みたいだな、と一人で考え、にやける。古本屋に漁りに行こうと思う。