日々と泡

身体中の血液が炭酸水になったような、サイダーばかりに口づけているような気分になって。

 その出来事は大したことはないのだ、でも俺は幸福になった。幸福だった、幸福を意識することは少ないので、大したことないって分かっているのに、頬が緩む、血液がサイダー。

 数時間で終わったそれの後で、数十時間後で、大したことではない出来事で、途方に暮れた。そこそこの綱渡り芸人気取りでいたけれど、気取りなだけだった。

 それでも俺の心臓は勝手に血を吐く。俺の身体中を巡っているのは、残念なことにサイダーではなく血液なのだ。機械になりたい、ので機械的なことをしよう(芸人的なことでもいいのだけれど)。いつまでも血液がサイダーだったならいい、と思ったけれど、今、俺の血液の中にも、動く泡達を感じる。泡渡り芸人にならばなれるのかな、なんて思う。