Hot chocolat DISCO

冴えない一日になりそうね
今日はなんかダメだわ
夢見の悪い朝
思わず顔をしかめてしまう

 みたいなチョコばかり食ってたいフェブラリーな気分ではあったけれど、外出する。些細な問題を済ませて、しかし他のことをしなければならないわけで、そんなことをしたくはないわけで、東京都写真美術館に向かった。

 太っ腹なことに、展示が無料(一部有料)ということで、行くことを決めたのだけれど、恵比寿駅のロータリー(っていうの?)で頭部とかがない鳩の死骸を見つけた。バスにひかれたのだろうか、まだ鮮やかな血の色や白い体毛が生々しかった。

 展示についていつも思うことを今回も考える羽目になって、それはキャプションがなければ自立できない作品には大した魅力なんてないのだということで、ご丁寧に説明文を読んでアートワールドへのプレゼンテーションに合格した作品に対する羞恥はないのか、とそんな気分になるのだ、ウエルベック風に言うと、

「結局のところ、僕は現代美術をほとんど評価していない。僕の知っているアーティストのほとんどは<企業家>とそう変わらない。未開拓の新市場がないかを注意深くあたりを窺い、空いたスペースがあればすかさず陣取ろうとする」

 なのだが、まあ、金払ってないしね! 他意無く、こういう展示はありがたいと思う。

 でも、少し好きだったのはクリストファー・ベイカーの大きなスクリーンに小さなコマの無数の人々SNS的な風景(動画)を映す作品は割といいんじゃないかなと思ってしばらく見ていて、スクリーンの前でシャボン玉吹きたくなった。

 あ、あと四つのスクリーンを上から吊るして外からも中からも見れる、という展示形態の作品があって、それはいいなあと思ったのだが、肝心の映っている映像がしょぼかった(スクリーンも、もう少し大きい方がいいと思った)ので残念。

 気分を害する人がいるかもしれませんから閲覧にはご注意ください、といった注意が書かれていたから何かと思えば、荒木の写真で、そういえば最近会田誠が訴えられ、レスリー・キーが逮捕されたりしていたなと思いだす。個人的な意見だけれど、ゾーニングができているのならばヒステリックに攻撃するのはお門違いだと思う。でも、俺はこの三人の作品は質は高い、というか流通するのに十分及第しているかもしれないが好みではない。

 以前自著で荒木が海外では似ていると言われることがあるけれどあいつは二流、とヘルムート・ニュートンについて語っていたことがあった(つまり自分は一流だといいたいわけだ)。有吉が某タレントを「ブス界一の美女」とかなり面白い言葉で評していたが、俺にとってはニュートンも荒木も「二流界の超一流」だと思う。浅田彰が荒木をオリエンタルジャパンにのっかったセンチメンタル安売りの恥知らず、みたいな感じでけなしていたことがあって、俺もその意見には同感ではあるものの、やはり、彼が質の高い写真が撮れることは間違いないだろう、でも好みではない。 

 無料だし、また行こうかな、と思いながら外に出てシャボン玉飛ばしていたら(本当は作品の前でやりたかったけどそんなのしたら頭やばい人だ)、
めっちゃ寒い上に風も強くてめっちゃ苦痛だった。イヤホンでYAPANのアルバムを聴いていたけど、あのいい意味で安っぽいというかいかがわしいトラックが今の状況に良く合っていた。長い髪がぐちゃぐちゃになって鬼太郎状態でひたすらシャボン玉を飛ばしていた。

 テナント料高そうな花屋の店頭はどこもバレンタインカラーになっていて、赤とピンクばかり。青い花ばかりの花屋があるといいのにと思う。ゴディバでチョコを配っていたのだが、百パー店にいらねー俺がチョコレートをもらうわけにはいかないので素通りするしかなかった。ギブミーチョコレイトディスコ。

 三月には東京都写真美術館ではアーウィン・ブルーメンフェルドがやるそうなので行かなきゃと思う、あとマリオ・ジャコメッリというひとの写真がかなり好みで、この人のも三月にあるから楽しみだ。楽しみについて考えていかなきゃなと思う、ディスコ・ミュージック気分、投げ売りされていた緑のかわいくないペンギンを買って帰った。