メルヘン モスク ジェイアール

 調子が悪いので家で少し休むことにして、周りの音が入るのが嫌なので、いつもイヤホンをパソコンやipodにつないでいたのだが、それをはずして久しぶりにテレビのスイッチを入れた。

 ぼんやりと瞳に映る、バラエティや情報番組がなんだか心地よかった。ほうじ茶を飲みながら、「笑っていいとも」を数年ぶりに家で見ると、俺の記憶のままの「いいとも」で、この番組が終わるというのが、どうでもいいし、ほんの少し寂しいような気もする。


 電車で内田百輭の『ノラや』を再読して、車内で涙を流しながらも後半は飽きて「阿呆じゃないのか(実際そうなのだが)、」と思った。内田百輭自身も読みなおしていない、と文中で語っているように、いなくなってしまった猫についての寂しくて泣いちゃった、というのが延々と書かれている「日記」で、あほらしくて、悲しい。

 ついでに同じく百輭の『贋作 吾輩は猫である』も読むが、決してつまらなくはないし、むしろ少し滑稽で読みやすく『贋作』という冠にふさわしい作品ではあるが、すると漱石の方が読みたくなってしまって、困る。

 大好きな作家ではあるが、健康なときに読むべき作家のような……。

 http://www.youtube.com/watch?v=c9ge0KMnb0w

 Soul Deep - Tahiti 80

 さわやかで、俺でも歌える、下手な英語がキュートだ。


 http://www.youtube.com/watch?v=hQyvtntXsyw

 the telephones - Baby, Baby, Baby

 荒い音を聞くと元気が出る。テクノも神経質もほどほどにってことですか、なんちゃって


 星のカービィの新作を買った。クラブニンテンドーの特典サントラ目的で。もう、スゲー楽しい。カービィマジかわいい。欲しい。一瞬作ろうかと思ってしまった。正統派進化って感じでゲームの楽しいし、音楽がゲームミュージックっぽいジャンクでキュートでキッチュな感じがたまらなく好きだ。

http://www.youtube.com/watch?v=MniKrloO1JM
http://www.youtube.com/watch?v=j-j_y-BzhAY
前のサントラの曲、星のカービィ サウンドトラック04-GREEN GREENS



 これとか躁病メルヘンって感じですごくキュート。メルヘンって、楽しい悪夢ってことなのかな、多分。

 読んでいる本は頭から抜けていく物が多く、いや、それもまた楽しいのだけれど、感銘を受けるのは再読本ばかりで少し寂しくもある。幸田文の遺作、でいいのか?『木』を再読。


「檜の木肌は白くて艶がある、白く光るものに陽が射せば、たいがいは目を刺激する、それが檜の白は目を刺さない、よほど品位ある白と言うか、特徴のある色沢というか、いいが上にもいい、といった趣があります、という」

 という一文を読んで、俺も檜の香を想起した。香りや痛みを想起させる作品というのはとても素敵な物だ。というか、他の個所の方がさらに良いと思うのだが、冗長になりそうで、書くのが面倒で、止す。

 今の作家でこういう体温やら匂いやらを感じさせる文を書く、書ける人はとても少数だと思う。まあ、今の時代の文章の良さというのも勿論あるとは思うが、何だか役に立たなかったり、じい、としていたり、泥棒であったりする人らの文章の方が好みで、身を律する心持にさせてくれる。

 モスクの写真集を見て行きたいと思い、サイ・トゥオンブリの画集を見直して、壁か肌の上に欲しいなあ(こんな素描がいいなあ)と思う。というか、最近旅行記ばかり読んでいて、というか俺はヤバイ位方向音痴で、しかも自分で治そうともしていなくて、先日もずっと東京住まいなのに、JRって山手線のこと(だけ)だとおもっていた。

 新しい家に越して半年で、やっと、私鉄とJRのスムーズな乗換について気付いた。それまでは私鉄からJRの乗り換えに一々駅から出たり出なかったりしていたんだよね(自分でも気づいていないというか、気にしていない)。毎回ipod
聞きながら本読んでるから、景色なんて知らんよ。アホ。

 これは、自分でもちょっとヤバイと思ったし、少し感動的だった。あ、俺、大人になった、って思ったね、もう少しで俺三十歳だね!

 脳内だけじゃなくて、俺もきちんと旅行しなきゃなーぼーっとしなきゃな。


 きちんと瞳に景色を映すってのは、大切だ。古くからある建造物も、自然も。人工物ばかり好きすぎる俺だけれど、たまにはメルヘンや自然を。