楽しみのために

 それなりにすることはしていたというか、まあ、多少は欲しいものがあって、そういうのに満足しているような気がしていたような気がしないでもなくて、でも、やっぱり何だか調子が悪い感じが続いていた。

 まあ、こういうのって、定期的になるもので、無理やり気分転換とかでどうにかするしかないってことだ、と思う。結構感情の起伏が激しい方だと思うが、不感症みたいなのは、やっぱり嫌な状況だ。

 別にその時の自分の状況とは関係ないが、ヤマシタトモコの『くいもの処明楽』という漫画を想起した。三十すぎのエロアホ店長に、二十半ばのイケメンインテリ系青年が告白をして、みたいな話で、最初ははぐらかそうとか思っていた店長だけれど、次第にバイト君の真剣な言葉に自分自身のことについて考えだす。

 バイト君に
 「茶化さないとやってられないくらい マジで感じない癖ついてるんすか?」
 とか言われて言葉に詰まってしまったり。
 

 ほんのりと付き合ってからも、店長は
 27の俺は多分あいつを選ばない、30過ぎてから選択肢が少なくなった気がした と一人思ったり、わざと年下のイケメンバイト君を怒らせようとする。でも、バイト君はその本心をきちんとわかっている。怒らせて、相手に任せようとしないで、自分の気持ちを言えよ。「本当はバカみたいに簡単なことだろ あんた、俺のことが好きなんだよ」

 ばかみたいに簡単なこと、好きなことができたら。あったなら。って、わかってるんだ。誰だってやりたいこともやるべきこともやろうとしていることもあるし、毎回順風満帆にはいかないわけで。

 でも、やっぱり、カッコ悪いのは、どうでもいいことばかりで頭を悩ませるよりも、自分の人生に責任をもって、正直に生きるってのは大切なことだ。

 友人の待ち合わせを間違えて一時間早く来てしまって、つい服屋で、月末の支払いもヤバイのに買ってしまう。夏に良さそうなサーフブランドのチンピラっぽいアロハにDRESSCAMPのTシャツ。あーほんとにこういう普段着にしにくい服が心から好きだ。DRESSCAMPのTシャツなんてハイブランドでもないのに定価12000円(俺が買ったのは中古ですが!)で、その上金加工のせいで普通に洗濯できないとか言うアホっぷりで、ほんとこういうの大好き。roenのいかついニットとかもほしかったなーただのニットに五万だって、あほか。大好き。

 っていうか、身銭切って、というかなんにせよある程度犠牲を払ったら覚悟が決まる。金、というか精神的なこと。掛金がないならギャンブルはできない。カネがないとしたら、でも、掛けるものくらいあるだろ?

 って、飯は友人に奢ってもらいました。わーい。いや、その前にオレ高い写真集あげたからイーヴンだけどね! まあ、なんにせよ、誰かにしてもらうと、オレも誰かにしてあげたいなって思えて、こういうのいいなって思う。


 変わったりするのは億劫になるけれど、でも、毎日変われるなら。その覚悟があるなら、結構悪くない人生のはず。