君は花散らしの天使

 パソコンのディスク読み取り機能が壊れて、外付けのドライブ(?)を買ったのだが、OSとかも合っているのを買ったのに、二回も連続できちんと認識せず、へこむ。もともとパソコンにはあまり詳しくないし、面倒くさがりで、しばらく放置して二ヶ月以上家で新しい音楽や映画を見なかった。

 でも、いつまでもそんなわけにもいかず、先日ようやく普通に使えるドライブに出会って、インストールができた。ほっとした。

 大学生の頃に聞いていて、昔の容量の少ないipodに入れていたから、なぜか消してしまっていたくるりのアルバムを借りる。割りと最近のくるりはあまり食指が動かないのだが、この曲すごく好きだったんだ。繰り返してリピートする。

『虹色の天使』




 彼らには珍しいくらいの、めっちゃさわやかなギターポップで、センチメンタルな歌詞。でも、この曲は2分ちょいという短さがとてもよくて、繰り返しリピートして口ずさむ。






ふと、プラスティック・トゥリーの『藍より青く』を想起した。あの曲も珍しく爽やか過ぎる曲で、元気をくれる、口ずさみたくなる。

  






最近雨ばかりで嫌になるが、花散らしの雨で桜もすっかり無残な姿になってしまっていて、それもまた、趣があるものだ。

あと、昔から大好きだが、最近great3のI.Y.O.B.S.O.S. をよく聞いて、歩きながら口ずさんでいる。不穏なベースと似たようなコードの繰り返しとポップなメロディー、そして不穏な歌詞が最高にたまらなくて、テンション上がる。めっちゃ安っぽいpvもいいですね!



https://www.youtube.com/watch?v=6aVT_5mUa3E




 渋谷の文化村ギャラリーの「ボッティチェリルネサンス フィレンツェの富と美」を見に行く。


15世紀、花の都フィレンツェでは、銀行家でもあったメディチ家の支援を受け、芸術家たちが数々の傑作を生み出しました。ルネサンス期 の芸術の誕生には、地中海貿易と金融業によって財を成したフィレンツェおよびメディチ家の資金力が不可欠でした。メディチ家の寵愛を受けたボッティチェリ(1445-1510年)に代表されるフィレンツェルネサンスは、フィレンツェ金融業の繁栄が生み出した代表的な文化遺産といえましょう。

 という会場説明があるが、いつの時代もパトロンと芸術家の幸福な関係、というのは興味深いもので、痛ましいような情けないようなものから、げんなりしたり華やかだったりするものまで。まあ、その時代ごとの優雅さ、というものがあって俺はとても好きだ。

 スパンクハッピーの「エレガントの怪物」の歌詞を思い出す。




 

 でも、何百年も年前のフィレンツェのエレガンスもきっと、違っていて、素晴らしい物だったのだろう。

 展示されていた、表にフィレンツェの百合の紋章、裏に守護聖人洗礼者聖ヨハネを刻印したフィオリーノ金貨はとても美しく、こんな美しい通貨が流通していたなんて、羨ましいなと思う。


ボッティチェリの《ケルビムを伴う聖母子》の額縁に貨幣の鋳造や銀行業、商人の活動を監督した両替商組合の象徴である金貨があしらわれている、というのも時代ならではという感があって面白いなあと思う。言い訳と策略と高慢さと自尊心の結実の極北というようなアホらしくも、素晴らしい。浅ましさ、もこんなにも美しくなれる。

 後、会場の目玉である横幅5メートルにも及ぶフレスコ画《受胎告知》がとても素晴らしかった。こういう大きさの絵画はそれだけで迫力があるし、実際に会場で見られてよかったなあと思わせてくれる作品だ。

 この画は病院かな何かの壁面に飾られていたらしいのだが、そんな病院なら通いたくなってしまう。静謐でありながら優雅さもある絵画で、見飽きない、生活の中にいてもおかしくない優美さも兼ね備えているように思えるのだ。

 最近疲れているのか、気がついたら電車や家の中で寝てしまっていることがちらほら、変な時間に起きてしまったりして。でも、天使とかポツプソングのことを思うと、何だかいい具合に現実逃避と、現実で行きていける軽やかさをわけてもらえるのだ。