幸福な、あまりにも幸福な
月末のクレカの支払いに震えるというか、一瞬頭が白くなった笑
beautiful garbage って大好きなgarbageのアルバムのタイトルが頭をよぎる、どうしよもないし、どうしようもなさを楽しむほうがいい、多分。
茶会で、今は亡き情人の面影をとどめる、息子、菊治と出会った太田夫人、お互いに誘惑をしたともなく一晩をともにする…
というのが序盤なのだが、
情事の後の、菊治の心情描写がさすが川端康成という感じでマジで好きだ。
独身者の菊治はその後でなにかしらいまわしさを感じることが多いが、最もいまわしいはずの今、あまい安らかさがあるだけだった。
こんな時菊治はつい無愛想に離れたくなるのだが、暖かく寄り添われてぼんやりしているのも、初めてのようだった。女の波がこんなに後を追って来るものとは知らなかった。その並に肌を休めて、菊治は征服者がいねむりながら奴隷に足を洗わせているような満足さえ感じた。
情交の後の、どうでも良さや物足りなさや孤独やら、様々な感情をさらりと表現した上で、おそらく20近く年の離れた男の傲慢さで、「肌を休めて」、とかいいつつ「奴隷に足を表せているような満足」、とまで表現するのは、さすが川端康成上品クズで、大好きです!!!!
とか茶化しるけど、彼女との関係は甘ったるい呪いのような感情を残したまま、彼女の突然の死をもって終わり、また、その夫人の娘やらとの関係が、情交ではなく、茶器をめぐって、密やかな関係のように続くのだ。
それにしても文中での「志野(焼き物の)の肌」という表現はいいなあと思うし、茶器やらすっと挿入される風景描写も艶めかしく、つややかで好きだ。
あー川端康成全集一から再読したい…
あとアンナ・カヴァンの『あなたはだれ?』を読む。
「あなたは誰?」と、無数の鳥が啼く―
望まない結婚をした娘が、「白人の墓場」で見た熱帯の幻と憂鬱。
カヴァンの自伝的小説、待望の本邦初訳作品が登場!
という紹介文で事足りるような、まるでカフカの小説のような終わりなき、悪夢。ただ、カフカの小説が迷路の中をあてど無くさまよっているようだが、彼女のこの小説ではねっとりとした不快感や恐怖が止めどなく襲いかかってくる、そして、どちらにも終わりはない。
出口なし。とは言っても、カヴァンも40近くになりやっと小説を書き始め(治療のため、ヘロイン中毒になってまで!)何らかの形で死を迎えるまでは、まあ、楽しくね