握手するならば

 お金の工面の為に本やらゲームやらをまとめて売って、それなりの金を得て、それらがなくなる、というのは虚しくもあり妙な爽快さもある。

 中原昌也の『作業日誌』をまたも再読。洪水のような音楽と映画の消費、そして憎しみやら人との出会いやらの日々は、ただ、俺も色々消費しなければという薄らとした前向きな気分になる。

 閉店間際のスーパーで、レジ前でイヤホンを外すと、鬼塚ちひろさんが高らかに
「私は神の子 子の腐敗した 世界に落とされた」とか話していて、それは、たいへんだなあ、と思った。


  Four Tet がmixしたFabriclive 59:がえらくよくて、リピート。

http://www.youtube.com/watch?v=hkF89p6y2qo&list=PL96F886D47D57966F

Simian Mobile Disco もあがるなー

http://www.youtube.com/watch?v=c0Bf6YGbc1c




Grum "Heartbeatsも気分が良くなる。この音で2000年代発売というのが素晴らしい。
http://www.youtube.com/watch?v=P1Ryrq5Mudw


 でもでも、テクノばかり聴いているのはあまり身体に良くないような気がするのは俺の気のせいだろうか、というか、前向き、とテクノというのがあまり結びつかない、いや、そういう人達がいるのは知っているけれども。

 兄とは正反対のような性格で、体育会系で仕事大好き会社員の上エグザ○ル大好き、な彼とはかなり険悪になった時もしばしばあって、趣味もかなり異なっているのだが、でも、洋服(ブランド)が好きなのは同じだった。

 兄から着なくなった服を貰い、最近まともな服を買っていないせいもあってありがたいと思う。というか、仲は良い、とは言えないにせよ、お礼に、何かあげよう、と思って住所を聞いた。

 でも、俺は趣味とかがある人ならともかく、そうではない人へのプレゼントは結構悩んで、値段とブランドに左右される、とか、それはそれで寂しいというか、高価な物も勿論素敵だけれど、さらりと良いものみたいなのを上げたりもらったり出来るのは、お互いの波長と言うか気遣いと言うかがあってこそだし、まあ、単純に趣味人、マニアの人の人の方が上げるのが楽しい。まともに社会生活を送っている人は、案外「チョー好き」があんまなかったりする。


 少し迷って、ブッダ、キリスト、グーグル先生の次に偉大なアマゾン先生で(ジョ−クです)オードリィ主演のコメディ『おしゃれ泥棒』のdvdを送る。ジバンシィの衣装を着た贋作師の娘のオードリィがピーター・オトゥールと、売り払った後でばれそうになり美術館から贋作を取り戻す、みたいなロマンチック・コメディ。

 兄は喜んでくれたらしかった。あー一瞬迷ったが『甘い生活』とか『去年マリエンバートで』とか『アルファヴィル』とか送らなくてよかったー、っていうか、俺が気軽に楽しめるよねロマンティックだよね、みたいな映画との世間一般(何この単語)との隔たりが…。

 でも、俺だってベタベタにロマンティックな映画、『眺めのいい部屋』が恥ずかしながらなぜかお気に入りで、というか、ピチカート・ファイヴの曲名になった映画だからとかいう気のない理由で借りて、中身は多くの人が楽しめるような高品質なラブロマンス映画で、上流階級のヒロインが「眺めのいい部屋」に招待してくれた男性を差し置いて婚約して帰る、みたいなシーンで、男が女性に向かって

 「何も恨んでいないよ だって君は思い出をくれた」

 とか言っているのを、十数年前に見たのに、(細部は違うだろうが)未だに印象に強く残っている。そう、何をされてもしていても何かの思い出をくれた、得られたというのは、本当に素敵なことだと思う。映画の中の美系の俳優が口にしなくても、きっと。

 何だか久しぶりに見返したくなり、『眺めのいい部屋』、ではなく『おしゃれ泥棒』をレンタルする。勿論映画自体は素敵なものだが、この映画も高校のころ以来だから十数年ぶりに見返して、俺の想像以上にピーター・オトゥールが普通の「おっさん」みたいな感じで、びっくりした。あれ、もっとハンサムじゃないか?とか思って。

 個人的にはオトゥールとマーロン・ブランドアメリカーンなスター俳優ってイメージがある。安心して見られるというか、彼らが出ているなら、まあ、出来はそこまで求めないというか、ああ、リバー・フェニックスの映画もみたいなあ。

 とか思いつつ、カレル・ゼマン「前世紀探検」を見る。


時の河を巡りながら、古代冒険の旅を続ける恐竜映画史にの残るSFトリック作。


 とのことで、見るからに手作り感溢れる動物達と、のびやかで自然な少年たちの演技がすごくほのぼのとしていていい。というか、俺はCG作品が苦手なのかもしれない。この位のゆるさというか、偽物感の中に本物っぽさを感じる瞬間が好きというか。

 そういえばもうすぐユーロスペースで北欧映画特集だそうで、見に行かなくちゃなと思う。たまには映画は映画館で。本当に俺は映画好きではないというか、(シネフィルではなく、映画館は好きだけれど、贅沢な暇つぶしだと思っている)所持金が数千円になっても散財を続ける中原昌也を見習わなくっちゃ(笑いごとではないのだが)!

 あ、そういえばみうらじゅんの「いやげもの展」がパルコであるそうで、悩む。一人では絶対行きたくないのだけれど、といっても誰かとわざわざ行くのも微妙というか。

 あ、そういえば、タイガー&バニーの映画が公開されるらしくって、珍しく俺もアニメは視聴してかなり楽しかったが、映画館に行くほどのファンでもなくて、でも、何かの企画で限定50名だけタイガーとバーナビーと新キャラと握手できる、というのにはとても惹かれた。マジで「後楽園で僕と握手!」したいと思った。

 俺がガキの頃、日曜の朝の戦隊物の合間のCMで、ヒーローが「後楽園で僕と握手」と口にしていた。おそらく後楽園遊園地には行ったはずだが、一度くらい「握手」したような気がするのだが、そこは記憶にない。俺もヒーローと握手したいな。マじで。

 こういう、おぼろげな記憶っていいよね、とか思うのは、俺が酷く忘れっぽいからなのかもしれないけれど。