小さな願い

嫌なことが立て続けに起きて、メンタルがやられる。でも、少し、いいこともあった。俺みたいな生活(性格 をしていると、回復の泉がないまま、砂漠や荒野を彷徨い、苛まれるばかり、といった有様で「それを選んだのはお前だろ」的、自己責任論めいた言葉が頭に浮かびながらも、たまに、辛すぎておかしくなる、おかしくなるのはとても辛い。

 本すら読めなくて、ひたすら薬飲んで寝るけれど、お金を稼がねばならないから、外には出る。外に出る時、電車の中で久しぶりに読書ができて、ほっとした。

 でも、よりによって読むのはゴッホの本。

 ほとんど知っている内容。図版もそうだ。なのに、たまに、似たような本を読んでしまうのだ。

 ゴッホの才能は置いておいて、彼の主張、性格、激情的で躁鬱気質で批判を恐れて無駄に献身的で臆病で自己中心的で……いやがおうにも自分に重ねてみてしまう。

 自分=ゴッホだなんて思っているわけではもちろんなくて、似たような気質の、うまくは生きられなかった芸術家という点で、どうしても感情移入してしまうのだ。

 ゴッホにはもっと長生きして欲しかった。でもさ、「もう少し頑張れ」、だなんて、彼に言えるだろうか? 言えないよなあ。テオのように彼と心中する覚悟がないと駄目だ。マザーテレサの言うように、「傷ついた人は哀れみではなく愛を求めている」んだよね。

 でも、少しのごまかしで、日々を繋ぐんだ俺。長生きして、小説とか、少しずつ書いていきたい。駄目になってしまうのは怖いけれど、元気なふりをしていなくっちゃ、どんどんだめになるから、眠りから覚めたら、できたら、元気なふりを。

 若松孝二監督 『裸の銃弾』を見る。

 

全編激しい撃ち合いシーンによって構成された若松孝二監督の異色作。組を抜け、愛人と駆け落ちしようとしたチンピラが、拷問を受けた末に指を詰められる。数年後、No.1の殺し屋へと成長した彼は、復讐のため麻薬の取り引き現場を襲撃するが…。

 

 正直、何も期待しないで見た。ハードボイルド、苦手なんだ。なのにさ、とてもいい映画だった。音楽、山下洋輔トリオ、とてもかっこいい。モノクロを主にした(たまにカラーになる 構図も画面もセンスが良い。あっけない終わり方も、カッコつけ映画にはぴったり。かっこつけとセンスの良さで構成された映画。俺、若松孝二好きなのか……? ATG系映画に多少苦手意識あった(でも見てる)けど、好み変わったのかも?

 何もかも駄目になる、時があって、それが続いたり、酷い仕打ちが続くと、もう、色々とどうでもよくなる、なのにさ、未だ生きたいな、色々見たり書いたりしたいなって思えますように。小さな願い。