口笛もなし

 なんとか気分を上げようとする時は、いつもとは違うことをする方がいいと思う。いつもとは違うこと、が気軽に出来ない時でも、いつもとは違う音楽なら案外簡単に聞ける。本当に、音楽は一瞬で気分を変えてくれて、素晴らしいなあと思う。何で自分が音楽を作ろうとせずに、消費ばかりしているのかなと思うこともあるけれど、ただ気持ちがいいというのも、結構いいことなのかもしれない。

 http://www.youtube.com/watch?v=mc-AhVrG_5k

 underworld のlive盤 everything,everythingを聞くと、なんだか気分が上がる。別に彼らの音楽がそこまで好き、というわけでもないのに、どんよりした暑さを吹き飛ばすような力強さがある。外で生で大音量で聞いたならば、さぞ気持ちがいいのだろうなあ

http://www.youtube.com/watch?v=UZDEL1zmuC4

Arthur Grumiaux のbrahms piano concerto 3もなんだか前向きになれるような気がしてくる。ような気がする。詳しくないけど。うっとうしいけど。しなやかで力強い。俺に足りない物。

 毎朝の食事は、脂肪ゼロヨーグルト200gと各種サプリメントで補っているのだが、最近は青汁も飲むことにしていて、なんか、健康マニアみたいな食事だなと自分のことながら思う。健康的ではないからこその食事なのだけれど。

 肉も野菜も好きだけれど、好きな物が色々手に入るとは口に入るとは思えない。それを考えると、音楽ってなんてすばらしいのだろう。頭や身体がアレなときだって、勝手に流れ出していてくれているなんて。


 http://www.youtube.com/watch?v=HhcdpfIMJ-Y

 addicted to you、になってしまう。でもaddictedしても音楽ならば大丈夫。さっさと俺の前からいなくなって、それから、繰り返しリピート

 雑務をこなし、そして外に出て、つい、安かったから、dvdを十枚以上買ってしまった。一つの店で数枚、が複数の店に行けば枚数が膨れ上がる。まあ、また、売ればいい。でも、その前に返却期限が近付いているレンタルのを片づけなければと思う。

 チベットのドキュメンタリーを見たい、と思って借りた物が、なぜか(説明をちゃんとみなかった俺が悪いのだが)在日○世の主人公が中国に迫害されているチベットミャンマー)と自分の状況を重ねて語っているドキュメンタリー、

 それは所々で胸糞悪くなる個所があって、ちょくちょく説明なしに「日本の被害者である在日の自分」みたいなのを出してきて、しかも映画の中心がチベット(への中国の侵略)だからか、かなり恣意的に日本が悪者で韓国に悪いことをしたんだ、みたいな情報だけを掘り下げずに垂れ流してきて、プロパガンダ偏向報道とまではいかないものの、見ていて気分が悪かった。検証もせず、自分のアイデンティティの為に歴史を利用するのってどうなの? あくまで自分は「被害者」でしかないって、何のための旅なんだよ。意味が分からなかった。なんでこれがdvdになっているのかも全く分からなかった。

 そういうのが気にならない人には、若者のセンチメンタルな旅みたいな感じで、普通に見られると思うが。俺は無理。

 無理、といえばソクーロフの『ファウスト』という、見る前からうんざりしそうな映画を借りて(なら借りるなよ)、以前ハネケの『城(カフカの)』を見たのと同じ感想を抱いた。すごいよね、でももう二度と見たいとは思わないけれど見てしまうかもしれない。

 ファウスト、といえば手塚治の『ネオ・ファウスト』『ルートヴィヒ・B』という結構好きな漫画がどちらも未完なのを思い出す。他にも未完の作品がちらほらあったと思うが、あれだけの作品量を描いた人に未完がどうたらと言うのも失礼なもので、でも、ファウストもベートーベン(ルートヴィヒ)続きが気になる人だ。自殺夭折、みたいな身勝手なロマンチシズム。

 わずか40歳で死因不明で亡くなった、ジーン・セバーグドキュメンタリー映画『jean seberg complete』を見る。見ながら途中で、俺は彼女のファンのつもりだったけれど、それは『勝手にしやがれ』と『悲しみよこんにちは』の彼女が好きだったんだなと思った。でも、疲れずには見ることが出来た。

 外に出て、久しぶりに割と冷たい雨に打たれる。

http://www.youtube.com/watch?v=HWyyxJoZHyY

 土砂降りの街はとてもきれいで いつのまにか子供になっていた

 高鳴るビートにはずもう この確かなヒートを燃やそう

 バシャっと蹴散らしさあ 踊るように歩いていこう

 ざーざー雨はクールな調べ 

 ずぶぬれで僕らは笑う 慣れっこなはずの行為が

 同じ路地を飾るよ ふざけてもいいかい 仲直りがしたいんだ


 キリンジの大好きな、雨は毛布のようにを思い出す。仲直りがしたい、かもしれない人の顔がちら、ほら、浮かんだような。その前に自分の身体と仲直りしなければいけないような。

 家の中で聞く雨の音はとても好きだけれど、途方に暮れて、雨に打たれるなんてやっぱり厭な思いだ。でも、もう少しふざけて生きて行きたいのだけど。その為にはきっと、何かを歩きながら口ずさんで。