真夜中が友人じゃないって知ってるよ

 外に出ようとしていたのに、雪がちらついていた。寒いから家から出たくないけれど家にはいたくない。ぐずぐずと考えていて、厚着をして外に出ると、案外寒くない。雨よりも、はらはらと落ちる雪の方が冷たさは感じないのが不思議だ。

 繁華街に出る、とはいえ行きたい場所なんてなくて、でも、外に出るのは歩きながら音楽を聞くのは好きなんだ。ipodと一緒になって口ずさむ、スパンクハッピーの夏の天才。息継ぎを、ブレスをする度、吐いた息が白くなり、消える。

 

2018グローバル・グリーン キャンペーン(音楽:SPANK HAPPY「夏の天才」15秒バージョン

 

 あてどもない徹夜のドライブ 知らない森で目隠し

 悩むものに悲しむ人に あやめ ゼラニウム アマリリス

 

 この曲はほんと詩もメロディーも最高だと思うんだ。あとデパートのイメージソング(伊勢丹)というのもぴったりすぎる。ハウスミュージックは貴方のお気に入りのデパートの恋人。ということにしよう。

 

黄昏のBay City

 俺が生まれる前に生まれたシティポップ。ベイシティってよく分からないんだ。でも、冬の日に合っている、ような気がする。

 

 若さは多分 見えないナイフ もつれあって 心が切れた

 馬鹿ね今頃 愛が痛いと あなただけがこの傷口 ふさげる人よ

 

 雑なドラムマシンの音と大げさな歌詞。なのに、ボーカルの歌唱力がすごくてポップスの中に沈んでしまうんだ。

 

 「誘惑について」PIZZICATO V

 田島貴男ヴォーカルのピチカートはソウルミュージックというよりも、最高のアダルトミュージック。アヴァン・ポップス。という感じがする。少し、体調が悪い時に少し、調子に乗りたい時に少し、アルコールの回った時に。

 本屋で並んだ古本を見ると、また、読みたくなってしまう人たちの名前が浮かぶ。セリーヌル・クレジオボルヘス。俺は彼らの大ファンというわけでもないのだがでも、彼らの小説は上等だ。最高だ。

 セリーヌの小説の『夜の果てへの旅』の冒頭は最高だ。

 

ことの起こりはこうだ。いいだしっぺは僕じゃない。とんでもない。

 

 第一次世界大戦中の彼。ほら、この冒頭だけで面倒に巻き込まれる予感が伝わる。最高だ。そして、主人公が気を許すことができた相手との別れを選択する場面で言うんだ。

 

 

僕らが一生通じて探し求めるのは、たぶんこれなのだ、ただこれだけなのだ。つまり生命の実感を味わうための身を切るような悲しみ。

 

 真冬にこそ読みたい小説だ。でも、この本たしか800ページある。長い本なんて面倒じゃないか。俺さ、読みたい本と読みたくもない本がたまってるんだ。

 散財して、帰宅して、少し、何かしようとしてできなくて寝る。翌日も洗濯だけしてぼんやり。そしてまた外に出る。

 人にあげる花束を買う。花束を買う、というのは良いことだ。誰かに何かをあげたり、無駄遣いをしていると、自分がまだましなことをしているかのように思える。何でかは分からないし、あまり考えたくないけれど。

 

 でも、俺が花屋で買い物をすると「領収書はいかがしますか」と聞くのはやめてくれ。いいじゃんか、俺が自宅用に買ったって。ある花屋なんて「近くで撮影ですか?」って聞かれた。ADにでも見えたのだろうか? これについてはよく分からない。

 花束を買うと、形が崩れるのが気になるし、電車内で本を読むことなんてできなくて、自然と花束を覗き込む。俺は注意力散漫というか、ほんと色々と雑でじっとしていられないので、何かを観察するという行為が苦手なのだが、それでも瞳に映る花々はそれぞれの顔というものがあり、興味深くも美しい。じっと見ると様々な色と形。虫を引き寄せる園の中で俺の視線も迷子。

 支払いが多い生活。考える、生み出すよりも吐き出すことが多い生活。どうしようもない。わりとすぐに落ち込むし、小さなことで立ち直るのだけれど、明日とか来週とか来月のことなんて考えたくないと思う。

 考えたくないのに、早く色々なことをしなければ片づけなければと思う。

 テクノとかロックって不良の音楽で、俺は聞かないんだけれど、クラシックに関しては「バッハほんと好き、他の人らは、まあ、うん好き」程度の感性しか持ち合わせていなくて、でも、何も聞きたくない時はクラシックを流す時がしばしば。

 最近ドビュッシーフォーレを聞いていた。なんか自分のクラシックの趣味って分かりやすいなーと思う。丁寧な、規則正しい、或いはメロディアスなピアノ曲。室内管弦楽とか小品集、とかそういうのも疲れずに聞けるから好きだ。おかゆばかり食べてるじじいかよ。

 オルガン曲は全部好きだけど、メタル曲聞いた時みたく疲れるから大変だ。ロックマンの曲の方が耳に優しいと思うよ(個人差があります)

 

 民族音楽、というのに明るくないし大して詳しくないのだが、ガムランは好きでたまに聞く。曲名がない、或いは覚えられない、覚える意味がない。というのがとても良い。クラシックも似たような感じというか、あのそっけない題名が覚えられないのだが、それ以上の体系化の拒否、といったものがそこにあるように思えて、すごく良い。複雑な音がして、俺はそれを覚えられないし忘れてしまうし、でも、気持ちいいんだ。

 ガムラン。聞く度に新しいんだ。最高だ。

 ポップミュージックとか、ロックとか、そういう不良の音楽はダメだ。あんなの毎日聞いてたらきっと、社会性が生まれちゃうよ帰属意識が生まれちゃうよだから、音楽なんて聞かないで、雑音みたいなのがいい。美しい雑音が。それ以外はもう、いらない。

 

 

 

Suchmos "STAY TUNE"

 

 サチモスいいですね。最近毎日聞いてます。この曲聞くと、外に出たくなる。どっか行きたくなる。行きたい場所なんてないのに。バリ島に行くには、お金がないのに。

 

セリーヌ読んでるやつ もう Good night

 

 何だか、夜をどうするか夜に逃げ込めないか毎日が真夜中だけならいいのにとか考えちゃう。ダメだ。そんなんじゃダメなのに。

 

 

STUTS - 夜を使いはたして feat. PUNPEE

 

 ほんといい曲。でも、こういうのばかり聞いてたら勤労意欲がなくなる。え? それって俺だけ?

 好きな曲を聞いて働きたいなんて生きたいなんてすごいね。俺は疲れたからひとねむりをして、でも、布団だってほんとは好きじゃない。