線上の微熱

 先日仕事先で初対面の方と少し挨拶を交わし、何故かじいと見つめられていて相手から一言「キミ、テロリストにいなかった?」

 新らしいですね。いたらどうすんだ。

 そういえば学生の頃おばちゃん相手のバイトをしていた時に、突然「あなたは皇族の方に似ていますね」と言われ、それを聞いていた仲間内のおばちゃんに失笑されるという経験を思い出した。テロリストと皇族って似てますね。そういうことにしておきましょう。

 でも、新人テロリスト系男子としては、この冬のトレンドッて感じですかね。「この冬はテロリスト系男子と 危険な恋を」「寒い冬は火炎瓶と総括で温まろう!」

 とか、そういうラリった感じの雑誌のコピーが結構好きで、編集者の悪乗りっぷりなのか本気なのかが分からない系の雑誌は、とても素敵だと思う。買わないが

 オレとしてはゲーム上のペットに言葉を教える「どこでもいっしょ」シリーズが似たような感じでラリっていて面白かった。言葉とその意味を教えると、ペットが適当な会話をするのだが、(「」が教えた言葉)




「純粋な魂」と「人皮の聖書」の心の奥底ではどちらが大切か!「リサとガスパール」に聞いてみよう!

 今日は疲れたから家に帰って「ヘロイン」のむにゃ
 
 「人肉市場」の「八ッ橋」おいしいピョン!

 「間引き」していても「即身仏」の時も油断すると眠くなる。

ドンキホーテ」に行くときに「コムデギャルソン」を着てないと「十字軍」に笑われるにゃー

夜中に「KKK(白人至上主義団体)」に行くと、「カルティケーヤ(クジャクに乗った軍神)」がいっぱい停まっていて、恋人同士で「聖餐式キリスト教の儀式)」をするにゃー「諸行無常」だにゃー

 「メルトダウン」の夜景を見ながら「せがきまい(餓鬼を供養する時に施す米)」を味わったにゃー。大人にゃー(ハート)

キルケゴール」と「人工知能」って本当に似ているなあ
 
将来の夢は「川越シェフ?(シェフなの?)」になること
 
とか、本当にペットってかわいいですねーこれって親ばかって言うんでしょうか(いわねーよ)

 

 でもロックマンのエグゼの外伝をやった時は違う意味でぞくぞくした。外伝では機械の少年が主人公をサポートしてくれるのだが、小学生向けのソフトなので、苦手な項目というものがあり、それに「にんげん」と入力したら、もう、メニュー画面を開く度にロックマンが鬼畜で、

 「〇〇(オレの本名)くん、(苦手な教科をこれにした)『にんげん』を一緒に克服しよう!」

「○○くん、お疲れ、ところで、今日は『にんげん』の勉強はしないの?」

「○○くん、お疲れ、インターネットで遊んだぶん、勉強もしなくちゃね、特に『にんげん』をね!」

 機械に人間を頑張れと説教されまくるというマゾすぎる展開に耐えられなくて途中で止めました、いや、本当はその外伝がかなりつまらなかったからだけれど。

 誰かと話した気分になるとか、何かの作品を理解した気分になるとか、その時のある程度固定された思考とか指向性の流れとかが、すうっと、気分を軽くしてくれる。遠くに来ているかのような。退屈でセクシーなハウスミュージックや陰気でグラマラスなソウルミュージックを聞いている時みたいに。

 https://www.youtube.com/watch?v=-gvT2LOryG4

Disclosure - January (Feat Jamie Woon)


もうすぐ来年になってしまって、諦めとか虚しさと、少しのわくわくした気持ちを覚える。音楽がゲームがあるならば、なんだかうまくやっていけそうな気がしてくる。

 ロウ・イエ監督、『スプリング・フィバー』を見る。


 現代の南京。夫ワン・ピンの浮気を疑う女性教師リン・シュエは、その調査を探偵に依頼し、夫の行動を調査させる。やがて浮気の相手がジャン・チェンという“青年”であることを突き止める。
夫婦関係は破綻し、ワンはジャンからも距離を置かれ始める。その一方、探偵とジャンは惹かれ合い始め…。

 とかいう説明があまり意味を成さないのがいい感じだ。説明文で十分なら、映画なんて快感だけでいいことになってしまうだろう。
映画は冒頭から男同士の濃厚なセックスシーンがあり、しかしこれには必然性が感じられてよかった。はっきりいって局部を無理やり映さないように、しかもポルノムーヴィーではないのだがら、物語の都合上数十秒から数分しか性交を描かないのだから、要するに書割のような性交シーンなんて見せられてもつまらない。性交が退屈だと貪ってしまうと、(おそらく)知っているからこその距離感と生々しさは意味があるように思えた。

 また、そういう濃厚なシーンの後の、既婚者の男性が妻に主人公の男を(友人として)紹介したいという無神経極まりない言葉、そしてそれを知った妻が激高して「男同士なんて気持ちが悪い!」「幸せになれるわけがない!」とヒステリックに攻撃したり幼稚な嫌がらせをしたりするシーンが痛ましくて、感情が爆発したまま、行き場がなく、いいと思った。

 全体的にくぐもった、かなり見づらいシーンもちらほらあり、前の作品で国から撮影を禁止されていたから、家庭用カメラでゲリラ撮影された、そうなのだが、それにしてもちょっと単純に見にくい、というのはどうかなあ、とも思ったが。

 近代化が進む中国で、未だに「脚本審査」があり、その作品のなかで監督は主人公のバイセクシャルの男性と付き合う女性にブランド物のコピー工場で働かせたり、そこでの女性にも面倒で凡庸な問題がふりかかってきたり、そういうのを安易な解決を見せずに描くというのは胸に残った。

 ラスト、主人公の男性が花の刺青を入れて、ふらふら歩くシーンが好きだ。

 オレも散財してないで、花のタトゥー入れなきゃな。

 あと、フィーバーって英単語が好きだ。熱病、熱狂。

 https://www.youtube.com/watch?v=aG_6QfZIOlk
 Kylie Minogue - Fever

 カイリー・ミノーグのfeverも好きだ。彼女の曲はダサくてセクシーでキラキラしていてとても好きだ。熱病、発熱、勘違い、そしてふと、幸福だとか感じたり、何かを分かった気分になれたりして。だったりして。

 対照的なのが、オタール・イオセリアーニの『月曜日に乾杯!

 工場で働く平凡な中年男性・ヴァンサンは退屈な日常に嫌気が差していた。ある月曜の朝に意を決した彼は工場に行かず、ワイン片手に水の都・ヴェニスへと気ままな旅に出る。

 というのだが、さすがイオセリアーニ、映像がとても美しいと共に、『スプリングフィバー』のように、大したことがおこらないのがいい(勿論どちらも緩急ありますが…)。酔っぱらいのおっさんがふらふらしているのを流すだけの時間。

 それと何よりいいのがおっさんがちゃんと家に帰る所と、それを家族がとやかく言わないこと。こういう映画って中々撮れないと思う。こういうごたごたを具体的に説明しない、解決できないことを理解しようとしない強かさ。

 オレは酒に弱く、人と一緒の時しか飲まないのだけれど、酒好きの人は結構羽目を外して酔っ払う人がいる。記憶をなくしたり、なんてのはそんなに珍しい話ではないらしい。

 でもオレにはそれが信じられなくて、だって、記憶が無い時って、誰かに自分では気づかずに何かをしているってことじゃないか。そんなのができるなんて、良くも悪くもすごい、と思う。オレには真似できないと思う。あと、オレは酒を一人で飲むとほぼ一時間程度寝落ちする。人といるときは絶対に平気なのだが。

 でも、酔う、というのが気持ちいいというのはオレにも分かる。機械に話しかけたり人間に話しかけたりするのは、刺激的で、いらいらする、意思の疎通が難しい、のに、してしまう。テロリスト系男子としては、いや、テロリスト系男子として恥ずかしくないように、さぼっていたあれやこれやをしなければ、とか。