キャンドルの灯


 映画の雑記。

 数年前に見た映画を見る。『小さな泥棒』

フランスの小さな田舎町に暮らす少女の人生と成長を描いたクロード・ミレール監督が贈るドラマ。シャルロット・ゲンズブール、ディディエ・ブザスほか出演。


 不良娘の生活を描いた映画って、男性のそれに比べたら少ないと思う。増村保造の映画に出てくる、「「はすっぱ」で「おきゃん」で「とっぽい」女の生きざまみたいな物。「あんた」と「あたい」の世界の話。

 様々な犯罪やらに手を染めるシャルロットだが、それは彼女が愚かであっても、自分の力で生きようとする意志があるからだと思う。弱さや幼さはあるけれど、芯は強い、しぶとい女性。ラストシーンの選択も好きだ。

 強さと愚かさと危うさというのが、きっと不良の輝きなのかもしれない。

 かるーい気持ちで、とにかく明るい気持ちで何も考えずに見ようとした映画

『幸せになるための27のドレス』

 ええと、これは、誰がどの登場人物に共感する映画なのだろうか???
 個人的には魅力的な人物が一人もいなかった!
 感想も割と分かれているようだし、好き嫌いは分かれるとか、そもそも俺みたいな男向けの映画ではないともいえるのだが、まあ、そのうち忘れてしまうだろうか……


こっちもハッピーになろうとして(笑)ずっと見ようと思ってみていなかった
『ヘアスプレー』を見る。

 色んな所で絶賛の嵐のミュージカル映画だけあって、楽しめた。衣装も音楽もいい感じだ。ただ、ストーリーのベタな感じというか、アメリカーンな正義は勝つんだ!みたいな感じが、俺にはちょっと合わなかった……

 でもそれは些細な点で(というか、ストーリーだって評価されるべき点だと思うし)楽しい映画だった。サントラがちょっと欲しくなるくらい。

 ずっと見よう見ようと思ってみていなかった、数ある映画の中の一本。

中平康監督 加賀まりこ主演の『月曜日のユカ』

舞台は横浜。18歳のユカ(加賀まりこ)は、初老のパトロンと同世代の恋人を持ち、男を喜ばせるのが生きがいとばかりに誰にでも体を開くが、キスだけは決して許さない。そして、パトロンとの逢瀬はいつも月曜日…。

 少しショッキングな展開もあるけれど、若き日の加賀まりこキュート! な映画。モノクロの画面に大きな目にアップの髪型の加賀まりこがとても映える。中平の画面構成もとてもセンスがある。

 ただ、とてもセンスが良いのだが、今見ると映画表現としてちょいダサイというか安直な面も……(ちょっと注文が多いのかもしれない)。これは普段のシーンのセンスがとても良いしテンポよく進むからこそ、そういう描写が入ると、ちょっとあれ、と思ってしまう。

 そしてこの映画は加賀まりこがいなければ成立しなかった映画かもしれない。勿論監督が彼女の魅力を引き出しているとはいえ、通俗的過ぎずに洒落た感じで物語が終わったのは、彼女の魅力によるものも大きいのではないのだろうか。

 『天空の草原のナンサ』を見る。

モンゴルの草原で暮らす遊牧民の一家の長女ナンサは6歳。かわいい小犬を連れて帰るが、父親に飼うことを反対されてしまう。しかし、父が出稼ぎに行っている間、こっそり飼うことに。ところがある日、放牧中に小犬とはぐれてしまう。捜し回ってやっと見つけたが、あたりは暗くなり、雨が降ってきた。不安でいっぱいの彼女だったが、遊牧民のおばあさんに助けられ…。


 ストーリーはあってないようなもので、淡々と遊牧民の生活を描く。途中でドキュメンタリーなのかと思ってしまうほど、穏やかで自然で生き生きとした人々の生活が映し出される。

 自然を映し出す画面も、そこで生活をする人々や動物の姿も、穏やかな気持ちで見ることが出来る。何気ない生活だけれども、それを丁寧に描写することで、こんなにも豊かな映画になったのだなあと感じた。生活がある。それでいい、というとても良い映画。

 映画は、100円でレンタルできる。お金がない俺の、簡単な現実逃避。でも、それは豊かで虚しい、素敵な時間だ。

 俺のこれからの展望は明るいものではないだろう。でも、小さな灯を探しながら、どうにか歩いて行くしかないのだろう。