はなばなの名前は

思考することから目を背けてぐずぐずと。寒いのなんて嫌だから早くあったかくなって欲しい。早く外でシャボン玉吹きたい。

 今まで知人友人に無理やりシャボン玉を吹かせたりしたのだが、一人としてノリがいい人がいなかった。「え、マジかよ」「めんどくせーから黙ってるか」「ヨナ君(仮名)ってこういうとこあるから反応に困るよね」みたいなオーラばんばんだしてんの。

 でも、俺傷つかないもんね、逆に、中途半端に嫌がるからニヤニヤしてきてさ「マジたのしーからやろーぜー」みたいになる。露悪趣味嗜虐趣味。ほんとはそういうのないけどさ、君の嫌がる貌見られるなら努力するよたまには。

 努力、って何のことか、実はよくわかってないけれど。

 たまっていた本の消化、あと読みたい本も読む。図版や写真が多い贅沢な本はどれもこれも好きだ。

鉱物レシピ-結晶づくりと遊びかた
 図書 標本BOOK-お気に入りのものを集めて作るインテリア標本の楽しみ- 
 魔術師のための創作BOOK

 とか言う、本をまとめて借りて読む。物作りとかの本が好きだ。作らないけど。たまにプラモデルが作りたくなる。ガンダムとか日本の城とか作りたい。でも出来上がった完成品はいらないんだな、これが。

 たまに、鉱物鉱石標本とかの本を読む。大して詳しくないけれど、つまり読むたびに発見があって面白い。綺麗な石は好きだが、硝子ケースに収まっている姿が美しい。あと、鉱石は名前がいいよね。

 水晶文旦、という名前がとても好きなのだが、これは鉱石ではないし文旦は特に好みではない、けれど名前がとても美しい。水晶で果実を作りたい。来世はキリストになって(石をパンにできるから)おいしいパン屋かアーティファクトを作る工匠になりたい当然来世などないけれど。

 たまっていた映画の返却期限が近くなってきて消化。

 

 ヘンリー・ゲルツァーラー ポップ・アートに愛された男

1960年代のニューヨークで隆盛を極め、今も世界中の人々を魅了し続けるポップ・アート。
メトロポリタン美術館の現代美術キュレーター、ヘンリー・ゲルツァーラーと
名だたる巨匠たちの目を通して、ポップ・アートのすべてが明らかになる。

 

 という少し大げさな説明文が、映画を見て大げさではないことを知る。すべてが明らかって何だよ、って感じがするけどともかく、出演者作品が豪華すぎる。

ウォーホル、ロイ・リキテンスタインジャスパー・ジョーンズ、デイヴィッド・ホックニーフランク・ステラロバート・ラウシェンバーグ、ヴィレム・デ・クーニング……この三倍以上の出演! しかも抽象表現主義の作家も出る。個人的にはポップ・アートとミニアル・アート(抽象表現主義)は同列というか、重なる面がある。或いはその運動を語るときにはどちらも論じるべきものだと思っているので、視野の広さに満足。

 既製品でもスペシフィック・オブジェクトでも、そこには人為が手業があるのだ。だから、あんな物が美しく見えてしまう(こともある)のだ。

 ジョージ・シーガルのモデルを務めた、そうで、シーガルは石膏像で人体を作った人なのだが、なんか俺好きなんだよね。実際の作品は見たことないし、見たらそんなに大したことないかもしれないけどさ。頼りない石膏像の(アーテイストにとって)親しい人達、ってなんか惹かれる。

 あ、グリンバーグも出てたなあ。また彼の本読まなきゃな……

 とにかく出演者だけでも豪華。ドキュメンタリー映画で豪華、ってのはそれだけでもポイント高い。

 

グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状

伝統ある美術館にも押し寄せるグローバル化の波――120年目の大いなる転換はどんな結末を迎えるのか?
館長、学芸員、修復家、美術史家、運搬係、清掃員。個性的なスタッフたちがつむぐ小さなドラマは、組織のなかで働く苦労や、芸術を扱う仕事が持つ困難さを切実に描き出す。
美術館のブランド戦略をめぐって紛糾する会議。収支バランスを問うてばかりの経営陣。下っ端扱いを嘆くサービス係。完璧主義の修復家。芸術とビジネスとが同居する場で巻き起こるのは、どれも普遍的でありながらユニークな問題ばかり。

 とかいう説明文が映画の説明としては十分すぎる。でも、それを知っていても、実際見て楽しい。黙々と仕事をする人たちと色んなあけすけな不満を口にするスタッフ。まるで自分も参加しているというか、のぞき見をしているような気分だ。効果音がないのも良い。人の仕事ぶりと生活を、そしてもちろん美術館を淡々と映す堅実で誠実な作り。

 

 成瀬巳喜男監督、林芙美子原作『放浪記』をまた見る。

主演は高峰秀子加東大介の顔を見て、あ、またこの人出てる。と思った。俺は人の顔をよく忘れるのだが、この人は漫画のキャラみたいな顔で(失礼)忘れられないし、ちょくちょく有名な映画出てるんだよね。

 とにかく生きていくんだ、っていう投げやりでも前向きでもない、図太くてか弱くたくましい。そんな女性像を高峰が演じているんだが、まあ、この人は演技がうまい。小汚い、はすっぱな役なのだけれど、顔の良い男に弱く、惚れた間はとたんに顔が輝く様がいじらしくも美しい。

 相手役の一人、宝田明のクズの二枚目っぷりがとてもいいと思った。女に迷惑をかけて逆切れをする肺病やみ。あまりにも高すぎる自己評価とプライドに周りの評価がいつまでも追いつかない。一生自分を愛して苦しむ二枚目。漫画に出そうな昭和の文学青年。とかいうベタな役。

 高峰の、林芙美子の、強くなくても生き抜く覚悟というか、愛されるような生き方をしてはきていないのだけれども、拗ねたような甘えたような態度でとにかく踏ん張っている姿は胸に来る。彼女の言葉、詩、

 

花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき

 

 でも、美しい時があるなら美しさを知ってしまったならばそれでいいのだと思うのだ。そんな居直りがないと、とにかく、辛いだけだ。

 見終わって、満足感と疲労感に襲われて、でも現実の俺は迎えたくない明日が来るわけで、俺も色んな物の処理をしなければならなくて、図書館で借りたプリキュアの歴代オープニングが入ったCDをパソコンに入れる。

 プリキュアは有名なので知ってはいるが、見たことはない。俺、曲が良ければ見たことがないアニメやプレイしたことがないゲームのCDを借りたり買ったりするんだよね。

 で、聞いてみた。良かった。なんか昭和アニメの主題歌の中に作品名が入る奴って覚えやすくていいのが多いと思うんだけど。良作率高いと思うんだけど。

魔女っ子メグちゃん OP

 アニメのオープニングだけ見ることがあるんだけど、このオープニングはほんとヤバイと思うんだけど。曲も作画も構成も素晴らしすぎる。ぐるぐる動く画にコミカルだったりスリリングだったりチャーミングだったりする展開に曲もボーカルも最高! なんでこんなにできがいいの? って思っちゃう。アニメに詳しくないんだけど、俺にとって一番すごいアニメのオープニングだ。あ、本編は見たことないです。

 ふたりはプリキュア OP「DANZEN!ふたりはプリキュア五條真由美

 この有名な曲、見てる人が元気になるすごくいい曲だと思う。小さな女の子が「大きくなったらプリキュアになりたい」って言うのが分かるわー みたいな浅い感想が出る位、曲だけでも魅力いっぱい。

 で、歴代のオープニング曲は良い曲が多いんだけどさ、『放浪記』見た後でプリキュアメドレーは、いやあ、おっさんにはきついっす!!! プリキュアが戦う闇の組織(?)みたいに浄化されちゃうよマジ。

 俺的にはこっちの方が身近プリキュア感あるかなー大人向けプリキュアかなー(は?)

空中戦 / 女王蜂

 

 夢見る少女が大人になっても 忘れないでね あの時あの気持ち

  って、プリキュアの後に聞くと染みるー

  染みて、しみったれちゃうよまた。ぐずぐずしちゃう。プリキュアでも聞きますかね。浄化されない程度にさ。