泥に咲く徒花を

色々トラブルやらやることで頭がいっぱいいっぱい。本当は家で休みたい。なのに、無実なのに嫌がらせを受けていて、家でも気が休まらない。家賃を払って、家にいるのに、いきなり嫌がらせをされる。さすがに参ってきているが、少し、前に進んでいることがあって、そのおかげで少しだけ救われている。それは、画を描くこと。

 学生の頃は浪人してもいいし、教室に通って美大に行きたかった。でも、主に金銭面で無理だったし、俺より「写実的に」うまくかける人山ほどいると思った。画を描くことはすきだった、でも、いつしか画を描くことは諦めてしまった。

 その代わりに文章を書くようになった。文章は十数年書いているから、こういう推敲もしない見直しもしないかき散らしの記録はともかく、自分の小説は好きだと言える。自分の好きな物があるから、それを書いているから。

 優れた人は沢山いる、でも俺は俺の書いた小説が一番好きだ。これは長く続けている制作者なら、そういうものだと思う。そうでもなければ、こんな孤独で誰も見ない物を書き続けるなんてできやしない。小説を書くことはとても面倒で嫌だけど、一番おれを豊かに自由にしてくれる。

 それは、他の表現だってそうだと思う。音楽だって映画だって関わってみたい。でも、今の所自分で出来そうとか、やりたいと強く思っているのは、画を描くことだ。

 十代の後半で早々に諦めてしまってから、数年に一度、らくがきをする。でも、それで終わり。続かないし、色んな人の優れた物を見続けているから、自分の稚拙な作品にがっかりする。

 続けていないから、当たり前のことなのに。

 でも、意を決して、百円ショップとウエマツと世界堂でアクリル絵の具を描くための道具を沢山購入した。最初は千円位で収まると思いきや、気づけば5,6000円を超えていた……しかも出費は抑えているし続けるなら絶対増えるし。貧乏な俺にこれはきつい

 でも、小さなしょぼいスケッチブックに色を乗せたら、下手なのに、とても楽しかった。久しぶりに小説を書くこと以外で深く集中できた。

自分の為のらくがき、絵画。それはとても幸福なことだ。

 最初は百円ショップの絵筆を使っていたけど、世界堂でちゃんとしたアクリル用の絵筆を使うと、当たり前だが描きやすさが違い過ぎて驚いた。初期投資すら恐れる俺が馬鹿なのだが、その位追い詰められてもいた。

 今も分からないが、多くのものを処分して、どこかに行かねばならないとしたら、絵具なんて買っている場合ではない。

 でも、その出費が、俺に豊かな時間を与えてくれた。やりたいことが増えた。最近は特に、イラストレーターのバルビエやハリー・クラークやアラステアやカイ・ニールセンの画を見てうっとりしている。日本だと特に山本タカトや今井キラや甲秀樹が好きだ。

 だったら、いっそ液タブ?IPADの方が安く済むのでは?とも思う。

 ただ、アクリル絵の具(ほんとは油彩がいいけど、アクリルも楽で良い)の色を乗せて重ねる感じは、デジタルでは出せないと思う。俺は、美しくって洗練されたイラストに憧れるし大好きだが、わりと素朴であったり筆致が分かるような作品も大好きなんだ。だから、今自分がアクリルで画を何枚か描けていて、うまいとはいえないものの、楽しい。嬉しいんだ。十数年前の借金を、少し返済してるような感じ。

 辛い時は、トラブルがある時はどうしてもそのことで頭を支配される。無実なのに嫌がらせをうけているならなおさらだ(色んなとこに相談はしていますが)。でも、好きな物が無ければ前を向けない。小説は勿論続けるが、書き終えたばかりで充電期間が必要だ。そんな時に何か、好きな物を描けたら。花や動物や幻獣や天使や悪魔。俺が好きな身近で遠い友達。彼らのことを考えて、うまく描くことが出来たなら。

 色々と精神的にもよろしくない。だから、後悔しないようにしたいなって、思っているんだ。美しいとか楽しいとかかわいいとか奇妙だとか、そういう物を考え作り出す時間が増えますように。