トーキョウの友人

広尾に出店したと思ったら、一年少々で撤退してしまったエクスペディション・モード、中目の店も閉めてしまったし、というか、今日中目黒に行ったらトールフリーも閉まっていて驚いた(こっちの方は新装開店らしいが)。

 少しずつ知っているお店が、それが全然利用しない店でも、色々閉店して街並が変わる、大した長さを生きてはいないが、繁華街の近くに住んでいたから、それを幾つも目にしてきた。

 それにふと、寂しさを覚える。服のことを考えていた人の思いが一つ消える、ロックマンが光の粒になるように。それは当然のことだと、それは生活だと知っているけれど。花屋で注文をしたら店員に「撮影ですか」と聞かれた。
 
 「いえ、自宅用です」俺は母に花を頼まれていた。店員は花の似合う様な男だと見てはくれなかったのだ。

 俺はベースボール・キャップが似合わない、頭がでかいから。ツンツンヘア、ソフトモヒカンとかが似合わない、デコが狭いのに口が小さいから。ボーリング・シャツやブルージーンズが似合わない、とてもヒョロガリだから。

 久しぶりに、俺が似合わない格好が似合う友人に会う。他人に気を使う、イイヤツ、俺もこれで他人に気を使うので、お互い気を許しあう風な感じをしながら距離感を確認、楽しいし疲れる。きっと彼もそうだろう。

「おー、久しぶり(中略)じゃあ今度飲もうぜ」

 大学時代に、この社交辞令を言われるのが好きだった。仲が良いならば、そんなことを言うまでも無く一緒に食事位とるだろう。これは繋がっていることの確認作業のようなものだ。

 フリーターになると会う人は限られていく。酒を飲まない、自分から人を誘わない俺は、あんな言葉を掛けられる機会が殆ど無くなっていることに気づく、多分このまま行けば、さらに少なくなるだろう。

 適当に挨拶をして早々に別れる(俺は明日朝からバイトだし)。何か俺は言おうか、と思ったし、何か言うべきことがあったような気がした、が、何も思いつかなかったし、何も言わなかった、「じゃあね/またね」女の子に花束を渡す役が似合いそうな、俺のトーキョウの友人。