友達のボンバーマンとロックマンです
都心で育ったくせに生まれつきかなりの方向音痴で、未だに東京のあちこちで、地図を見ていても迷い、高校生になって初めて地下鉄とJRの違いをなんとなく理解した始末、特に新宿は、一時期は住んでいたのにも拘らず未だに道を間違える。
高島屋に近い出口、えーと、何口かは忘れたが、あそこの付近で何年も大規模な工事が中絶されているのはどういうことだろう。確か段階的に改装されたりしていたような気もするが、記憶はあいまいで、それに新宿と言ったらやはり東口周辺を利用することが多いので、所用であの近くを通るたびに、ああ、未だあの工事は完了していないのだなと不思議に思いながらも、むき出しの、完成途中の建造物が廃墟のような美しさを湛えていることに心が温かくなる。
不摂生がたたって、吐き気やだるさが続いているのだが、胃腸薬を飲んだら多少回復した。すごいね胃腸薬。結構高いけど。
以前はお菓子が主食だった。今は多少改善されているとはいえ、やはり体に負担がかかっているのかなと思うが、勤勉な労働者以外はまともな飯を食べられなくてもまあ、しょうがないかなとも思う。でもこれ以上面倒事が増えないように、最近はほうじ茶をよく飲むようにしている。中国茶とかゆったりと飲むような生活にあこがれるが、まあ、それは憧れのままでもいい。健康よりサプリとゲームのほうが好きだ。
アメリカ産のDSのボンバーマンをプレイすると、やはり、キャラが日本のよりかわいくないことに気づかされる。なんでもかわいくなくさせる欧米、恐るべし! ちょっと話はそれるが、ペルソナ1なんて海外移植の際に仲間の一人が黒人のブラザーって感じにされていて驚いた(向こうでは登場人物が白人だけだとクレームがきたりするらしい)。
いや、日本がなんでも無理やりかわいくしてしまうと言ったほうが正しいのかもしれない。
この海外版のゲーム、フリーバトルモードを、当然一人でプレイしようとすると、
「do you want to battle alone?」
とかいちいち聞いてくるのだ! イェス! アローン!!! 欧米人の無神経!!
やっぱ日本のゲームはそんなことはないんよ、もっとサービスが行き届いているからね、ほら、「ロックマンエグゼ4.5リアルオペレーション」なんか違うわけよ、最初に年齢とか苦手なものとか趣味とか入力すると、ロックマンがちょこちょこそれに対応したメッセージをくれるんだよねこの細やかな気配りを、欧米人も見習ってほしいよね、さーて、ロックマンと大冒険だ! え、何、さっそくどうしたロックマン、
「ヨナ(実際は本名プレイしてます)くん、インターネットはみんなでやったほうが楽しいよね」
「ヨナくん、(苦手な教科をこれにした)『にんげん』を一緒に克服しよう!」
「ヨナくん、お疲れ、ところで、今日は『にんげん』の勉強はしないの?」
「ヨナくん、お疲れ、インターネットで遊んだぶん、勉強もしなくちゃね、特に『にんげん』をね!」
ごめんなさい、ちょっと耐えられそうにないです。何だよ!趣味は「ねこまつり」と「ラグナロク」って入力して褒めてくれたくせに! そっちの話題を振れよ!
いろいろと調子が悪かったのだけれど、放置していた小説の続きが書けるようになって、気分がそれなりに回復した。おそらく生産的行為はそれしかしてないように思えるので、小説を書けるのは、とても俺の健康に良い。
最近は小説以外の本等ばかりを消費していて、ある時にふと、頭の中に引っ掛かっていた断章がもつれ、形になる瞬間は、とても気分がよい。明瞭な、たまゆらの視界を手に入れた気分だ。集中力がないのと飽き性のせいで、目移りするものを、何個か処理しやすいものばかり、こういう造語はあまりすきではないのだが、マルチタスク症候群的な消費をしていた。それが自分にとって楽だから。もっとスマートなやり方はあるだろうが、でも、これでもうまくいくことはあるし、こういう風にやってきた。
また注文をしてしまったので、厭なのだが、期限が近付いているので、仕方がなく映画を見る。
『10ミニッツ・オールダー RED 人生のメビウス』
は七人の監督が10分程度の短編を撮ったオムニバスで、かなり豪華なメンツが揃っている。オリジナルは15人の監督らしいが、それだと3時間になってしまっているので、今のおれにはこの短縮版でも十分(でもあっちにはゴダールがいたんだ!)、それに繰り返すがメンツがかなり豪華で、
アキ・カウリスマキ 、 ビクトル・エリセ 、 ベルナー・ヘルツォーク 、 ジム・ジャームッシュ 、 ヴィム・ヴェンダース 、 スパイク・リー 、 チェン・カイコー
ってすごいね。オムニバス映画ってあまり多くは出ていないけれど割と好きで、すぐ終わるので体力がないときにはぴったりだ。個人的にはエリセとジャームッシュが好きだったが、わかりやすさというかすっきりしたというか、まあ、佳作的だなあ、オチがあるなあと思わされたのはヴェンダースとチェン・カイコーなんだ、けどねえ、チェン・カイコーは最後のCG処理がびっくりするほどセンスがなくて、ヴェンダースは倦怠やめまいの描写、映像が鼻についた。
嫌いとかどうでもいいとかではなく、俺にとって相性が悪いのがヴェンダースで、特にあのベルリンの綺麗でうすっぺらいのには本当にいやな気分、にさせられたものだ、が、彼の映画を支えている詩情(便利な言葉だ!)や映像美には素直に感心させられる点があり、憎しみの生殺しにされてしまう。
でも俺には彼の映画が安全圏からの優雅な感傷旅行を見せつけるものであるような認識がどうしてもぬぐえない。映画を撮る才能はあると俺でも思うのだが、どうしても好きにはなれない。生殺しになる。彼についてまともに語る言葉を俺は持ち合わせていないのだ。相性が悪いのだ。
でも、インスタントに提供してくれるこのオムニバス映画はかなり良質ぞろいだった。映画を見たくないときにはオムニバス映画がぴったりかもしれない。嘔吐には胃腸薬を、情報にやられてしまったら、新たな情報を、ディガー。
雑多なマニエリスム、キメラチックなリンクはか細くとも気分がいい。