walk along the happy wild side!

 半年前の美術手帖では写真家のライアン・マッギンレーの特集号、俺は彼の写真が結構好きだけれど、大好きって訳では無くて、でも少しでも「好き」という感情があるってことは、いいことだ、

 なんて思いながら、その号では俺が同じような感情を抱いているガス・ヴァン・サントとの対談を行っていて、その内容は楽しそうで、会話も弾んでいて、一人でこの二人はとても似ているというか、相性が良さそうだなあと思った。

 マッギンレーとガスはどちらも、アウトサイダーに惹かれることについて(記者に何度も尋ねられるそうだ)彼らを自分の起点として語るガス、ファインダーを通して彼ら自身になるマッギンレー。多少言葉を濁し、自分の大切なことについて語っていて、興味深かった。

 マッギンレーがナン・ゴールディン(やラリー・クラーク)と似た文脈で語られていて、でも俺としてマッギンレーの方がずっと、ハッピー・アウトサイダーに惹かれていたような気がする。マッギンレーは好みの素人を千枚も撮るそうだ。タフネス、ハピネス溢れる彼。瞬間を掴みたい彼。

 ガスの映画は割と見ている方だと思うが、毎回のように何だかちょっと気恥ずかしい気分になることがある。まるで、女性作家の描いたロマンチック・ボーイズラブみたいな。

 彼の作品の中で一番好きな作品は『ラストデイズ』で、これは本当にいい映画だと思った。主人公がカートに似ていないはずなのに、カートみたいなんだ。鋭い、痛みのような倦怠のような映画、ニルヴァーナのカートの曲に似ているなんて、なんていい映画なんだ!

 それとは対極にあるかもしれない、ロマンチックな、『マイ・プライベート・アイダホ』も結構好きだ。若々しさにあふれた、キアヌ・リーブスリヴァー・フェニックスの存在はとても大きいと思うけど。イケメン・アウトサイダーの為の、少女マンガの中の、不実でセンチメンタルな二人の王子様の為のような映画。

walk along the happy wild side!


 芥川の抱くぼんやりとした不安、ではなく、きっと、彼らのファインダーの向こうにあるぼんやりとした幸福。高校の頃聞いていたカジ・ヒデキのシヴィラはある日突然にを思い出した。

http://www.youtube.com/watch?v=7w5YBZCpmd0
 

 漫画は大好きだし、漫画に関しては女性の描き手の方が好きな人の割合は多いのだが、「少女マンガ」に関してはあまり胸に響かなかった。一応有名所を片っ端から読んでみたのだが、あくまで「少女マンガ」に属する漫画家で本当にやばいと思ったのは萩尾望都だけかもしれない。まあ、個人的な好みにしかすぎないのだけれど。彼女の漫画にも、たびたびアウトサイダーが出てくるから。多分、純粋な王道な少女マンガは、愛される女の子を描かなければならないのだろう。

 前々から気になっていた、なんてものは無数にあるのだが、図書館で「少女革命ウテナ」の漫画五巻セットを借りて、読んでみたのだが、かなり面白かった。面倒なのであらすじをwikiからコピーすると、



幼い頃に助けてくれた王子様に憧れ、王子様になりたいと願うようになった少女・天上ウテナは、入学した鳳学園で「薔薇の花嫁」と呼ばれる少女・姫宮アンシーと出会う。エンゲージした者に「永遠」に至る「世界を革命する力」を与えるという「薔薇の花嫁」をかけて戦い続ける生徒会役員(デュエリスト)たちは、ウテナがかつて王子様から貰った指輪と同じ「薔薇の刻印」と呼ばれる指輪を持っていた。ウテナもまたこの決闘ゲームに巻き込まれ、その背後にある「世界の果て」へと迫っていく…。


 というもので、そう、これは少女漫画ではあるが、俺が好きな闘って勝ち取る、少年漫画のような構成になっているのだ。

 これは多分この作品が女性作者だけではなく、アニメ版の監督もしている幾原邦彦という人の影響もかなり強いはずだ。漫画版しか見ていないので詳しい言及は出来ないが、というか、正直結構ベタ超展開尻切れトンボ的ラスト、と言ってもしょうがない部分も見受けられるのだが(漫画版)

 それにしたって、漫画のアニメの世界でならば、少女は、憧れの王子様になれる夢を見られる「かもしれない」という点に切りこんでいるのは身につまされた。監督は漫画版のあとがきで、自分の中のわがままな王子を殺して生きてきた、けれど彼を蘇らせなければ、何度も葬らねばならないことについて言及していた。少女はやはり、完璧な、憧れの王子様になれないのだろうか? 漫画の、魔法の世界であっても。

 その答えは誰も知らない、けれど、闘い続けるということはやっぱり大切だってことだ。

 ちなみにアニメ版は、前に書いたローゼンメイデンと同じ人が音楽を担当していて、これがかなり良かった。アニメーション向けのメロディアスでキャッチー・クラシック。



http://www.youtube.com/watch?v=j7UANtJsEqA&list=PL2856BE9A5332838D

http://www.youtube.com/watch?v=aHkqJ8nXF8E


 正直調子が悪いのだけれど、ぼんやりとした頭でタイプして、こういうことを考えて音楽を聴くのは、割と健康にいいかもしれない。ハッピーアウトサイダーみたいなふりをして俺も