店晒しの天使に薄っぺらい欲情を

 雑務の帰りに、久しぶりに下りた駅。開発が進んでいるのか、少しだけ景色が変わっているのだが、ずっと街と共に古びたままの書店も、ちらほら。

 アマゾン先生の大ファンになってから、明らかに街の古本屋で本を買う機会が減ってしまって、希少本の類にそれほど興味があるわけでもないし、というか簡単には買えなくて図書館で区内取り寄せをして貰ったり、わりかし欲しいものはもう手にしてしまっていたり。

 でも、あの、宝探しのような、見知らぬ魅惑的な背表紙を眺めるのは、いつだってわくわくする。購入をしなくたって、自分の知らない素敵なものが沢山あふれているんだって、そう思える幸福。

 古い本や値段がそこそこする本はパラフィン紙で包装されていて、あれは読む時に邪魔だから、読む際に取り外してしまうのだが(しかも箱に入れる時にもくしゃくしゃになってしまう)、あの密やかな指ざわりが、日に焼けて濃い飴色に、パリパリになってしまうのは、とても好きだ。

 ブランド物の商品を包む、薄紙も(最近ご無沙汰だけれど)。てか、好きだ俺、薄っぺらい、役に立たないヴェールが。

 店頭にある百円均一の棚にはラファエルロの小さな画集があった。店晒しになった、色褪せた天使達。何度も目にした、有名で、世界中で印刷されたであろう天使達。

 天使、はすきなのだけれど、ガチで天使がどうたら言っている人には苦手な感情を抱くことがしばしばあって、だって、マジで自分が「神様の為の、麗しい奴隷」になれる(感情移入出来る)なんて思えるのかが良く分からない。スゲー美形(精神、とは言いたくはない)の人が短い期間だけめくらになるのならば、相応しいような気がしないでもないけれど。

 それを思うと「女神転生」(悪魔を仲魔にして合体して、色んな神様ぶっころすとても楽しいゲーム!)の、首輪をつけられて目隠しをされている(アートワークの金子一馬は神への信仰で盲目になっていることを表現しているとコメント)「エンジェル」はよくできているなあと思う。

 でもなんだかんだで俺も結局天使が好きだって、ことっすね。自分がなれるだなんて全く思えないし、なりたくもないけれども。だって、美形の奴隷になりたいとか好きだとか、あんまり人に言うことではないように思えるのだけれど。

 ずっと見よう、と思いながら見ていないドラマに『傷だらけの天使』がある。きっかけは原作の大ファンであるという、やまだないとが漫画で描いたもので、彼女のファンということもあったが、かなり面白かった。

興味を持ってちょろっとウィキを見たら、最終話のネタバレが書いてあって、かなりショックだった。元々DVDで借りるのも面倒だと思ったのもあるけど。

 でも見たいなあ、と思っている多くのもののひとつ。

 この作品に(というかやまだないとフィルターを通した作品になっているだろうけれど)惹かれるのは、多分主演二人の、友達でも仲間でも勿論恋人同士でもない、奇妙で縁があってしかし、ぷつりと切れてしまうような、そんな男同士の友情みたいなものかもしれない。冒険の、旅の途中で、少しだけパーティを組む、変に気が「あってしまう」仲間みたいな。


 ぼんやりと、カプセルのstay with youを聴く。この作品とは不釣合いのような、少しだけ合っているような。

 https://www.youtube.com/watch?v=9_Mb_A8q3-w 

 切ない 恋愛のキキメは
 意外と 深いみたい
 もうちょっとチャンスがあるなら
 君の 邪魔をして 
 ハッピーエンドを遅らせるの
 ねえ I want stay with you

 ハッピーエンドを遅らせるの、ねえ、I want stay with you って、マジで胸キュンっすね! ヤスタカ(カプセル)は絶対にクラブミュージックじゃなくて、ハウス「風」のちょっと切ないポップソングの方が上手いと思う。

 てか、ヤスタカも「ねえ」って言われるのが好きなのかな。パフュームのそのまんま、『ねぇ』って曲もあるし。

 ねえ、○○(俺の下の名前)とか言われたらマジたまんねーっすね。あ、男の人なら、なあ、○○って呼ばれたいです!
 

 もう俺、「意外と 深いみたい」な感じの人から「ねえ」とか「なあ」○○とか言われたらさ、インサイダー取引とか蟻の巣にアロンアルファとか天使になれとか、そういう悪いこと意外なら、もう何でも言うこと聞いちゃうね! 馬鹿みたいだね! 馬鹿って楽しいね!

 いやあ、楽しいのって、自分の手でこれからも。これからの為に、健康の幸福の為に、ハッピーもハッピーエンドも遅らせて、てか、俺に贈らせて、なあ。