映画とか

 風邪ひいた。まだ鼻水ぐずぐずする。病気すごろく止めてほしい。

 髪型をツーブロ、オールバックに変えたからか、歳のせいか、似合う服が変わったというか、前なら気合で買っていたような派手な服よりも、ちょい大人っぽい服のほうがしっくりくるようになった、気がする。

 あまり服も買ってないのだが、最近買ったのはポールスミスナノユニバース、アーバンリサーチ、となんか大人でもオッケーな感じって、おれが高校生のころから買っているブランドや店が変わっていないという!!! それを思うと何だかすごいなーと思う。
行動範囲が変わらないまま老いていく、として、それが愚かしいことだと、今はその実感がない。

 銀座のエルメスで映画。二本立てドキュメンタリーで、

 「デビルスタワーへのバラード」 フリークライマーの女性が、アメリカ、高さ386mの巨岩「デビルスタワー」に命綱なしでいどむ

 クラック(さけめ)にほぼ素手で突き進む女性の腕はしなやかだが、その体もしまっているのか、筋肉質には見えないのがなんかすごいなあと思う(パンプアップではない、自分の為の、競技用のすらりとした筋肉は美しいと思う)

 アメリカの広大な自然と、淡々とクライマーを映す、正統派ドキュメンタリー。

 対して大好きなヴェルナー・ヘルツォークが撮った『跳躍の孤独と恍惚』という、スキージャンプ金メダリストへのドキュメンタリー。

 最初から、メダリスト(その時点ではまだだが)がジャンプ失敗したのを三回も連続で映すのがさすが性格が悪いな笑 と思ったが、その主人公もかなりマイナス思考で、結構珍しいなと思った。

 あと、前の映画と共通している発言があって、クライマーもジャンパーも、かなりきけんすぎることだからこそ、安全を第一に考えそれ以外考えないと集中力が出る とか、飛ぶときは不安なんて考えない みたいな一流の人の覚悟というか集中はすさまじいものがあるのかなと思った。

 主人公は成功した後も、成功したら民衆はもっと求めるだろ、とかなり冷静で皮肉っぽいことを言う。(オリンピックとか見ないけどさ)金メダリストがこういう発言するとか、俺は好きだなと思う。

 映画の最後は彼がひとりになってふらふらしたい、みたいなことを言っていて、お前最初から最後までそんなんで本当に金メダリストかよ笑 ってな具合に好対照の二本の映画だった。

 あと、なんか最近映画を結構見ている。しかも一度見たやつ。でも、数年ぶりに読む本や映画って、新しい発見や、その時の記憶を呼び起こしてくれたりする。

フィリップ・ガレル『秘密の子供』を見る。友人だった人が、ガレルは愛の映画を撮る人だ、と言っていて、見る前はなんだそれと思っていたが、見れば納得してしまうのだ。寄り添う二人をかなり長いショットで映す。モノクロの世界の中の二人、大した状況説明はされてないのだが、順風満帆、というわけではないのはわかる

 それでも、恋人たちはよりそい、言葉も少なく、お互いの時を確かめ合う。

 最後カフェで、女性が薬物を使用しているのがばれて慌てて釈明するが、男は何も言わない。何も言わず、そばにいて、映画は終わる。切り取られたように。

 ヘルツォークのもう一本のドキュメンタリー。『キンスキー、我が最愛の敵』これも再見 怪優、とかいわれたクラウス・キンスキーと共に撮影した映画やらのドキュメンタリーで、俳優と監督がお互いにあの時は殺してやろうと思った、とか言い合えるクレイジーぶりというかハイテンションぶりはなかなかないのではないかと思う。

 というか、実際に映画を見る以外に説明しようがないのだが、安定剤必要かな?みたいなのを演技でも実生活でも地で行くキンスキー。でもその蛮勇ぶり、粗野で凶暴性はヘルツォークの映画に多大な貢献をしただろう。

 ずっといい関係ではなかった二人だけど、こういうドキュメンタリーで、楽しく談笑する二人や、穏やかなキンスキーを映す監督のまなざしは、この映画でしか見られないもので、素直にいいなあ、と思えるのだ。

 あと、最近頭が動いてないからドキュメンタリーの本を読んでいるのだが、情報ばかりを教えてくれるから、これはこれで楽しいなあ、と思う。問題は俺が何年に何が改正されて…みたいなのに興味が薄いことだ(何のためによんでんだよ笑)

 あーあ、カミュル・クレジオユルスナール再読したいな。でも、たまってる本があるからそれも片づけなくちゃと思う。