澄んでも濁っても憎むのだ

 頭の状態が思わしくなかった。歳を経るごとに、少しずつ、でも着実に状況が悪くなっていくのが自分でも分かる。

 仕事を辞めた。新しく始めた短期の小銭拾いも、数時間で頭がヤバくなって止めてしまって、これが二十代前半のクソガキならまだしも、三十代前半のオッサンのクソガキだから、我ながら酷いと思う。

 希死念慮というよりも、具体的に自分を処理するならばどこでどういう方法が良いだろうか、等と考え出す。金が無いので家にこもる。両隣の部屋から騒音がうるさく、大家に電話しても良くなったことが一度もない。

 感性が、死滅している。勿論、好きな物、素晴らしい物に触れればその素晴らしさが分かるのだが、それよりも俺は死体のように悪夢に飲まれて寝たり起きたりをただ繰り返す、ずた袋。

 死ぬ前に心残りなのは、と考え。それがあることに気付き、自分の人生もまあ悪くないかもしれないと思い直す。幸福の期待値が異様に低い俺。我儘で気分屋で短気でプライドが高いのに、異様に自己評価が低い俺。

 自分のことが他人事のように感じられる。実際、離人感ということを抜きにしても、自分の身体を自分が操縦しているような感覚は小さい頃からあるから仕方がない。

 でも、素直じゃないまま、嘘ばかりついて死ぬのもだせえなあ、と思う。自分の為、暇つぶしの為愛撫の為愛着の為編集する、文章。私的なそれは、悪くないと思う。それはきっと愛の言葉のよう。嘘臭くて薄っぺらで、でも気持ちがいいそれが愛の言葉。

 最近クラシック音楽をちらほら聴いていて、クラシックと言えばバロックとバッハしかピンとこない耳の悪い俺でも、他にも好きな人たちが見つかった。問題があるとしたら、曲名を覚えにくいことと、ipodで検索しにくいこと。

М. Glinka - The "Nightingale" Variations, Anna Petrova-Forster, piano

https://www.youtube.com/watch?v=746S8DZvFeM&app=desktop




Francis Poulenc: Pièces pour piano - Alexandre Tharaud (Audio video)

https://www.youtube.com/watch?v=razw8QUVMNk


Marin Marais - La Folia

www.youtube.com/watch?v=k3i6lBB4qRY



あと、SFCいただきストリートの音楽も好きでよく聞いている。なんと、このゲームのBGMは全曲筒美京平なのだ! 歌謡曲オタクならば、ゲームをプレイしていない人でも繰り返し楽しめるだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=ucbknPEgUT8


 このゲームは友人の家で何度も対戦プレイをした。その友人とはもう会うことは決してないけれど、楽しかった思い出は消えないし、美化され何度か上書きされる。

 また、ほぼ誰も読んでいないファンタジー小説を書いているのだが、それは本当に暇つぶしで、例えばこの雑文のように口述筆記のように書き進めて推敲なんてしないから、書いた時は楽しくても、たまたま見返したら、その酷さに驚いた。

 ひどさ、というか、読みやすい平易な物を意識していたのだが、それにしてももっとかけると言うか、誤字脱字もはんぱないし。それで今更、ちょこちょこやや真面目に(人並みに)そのファンタジー小説と向き合う。

 ということは、俺の好きな感じになるわけで、登場人物の一人、侍の人物。
彼の父親は和歌で相手を恋に堕として、その心臓を生きたまま喰らいその力を得る。という設定を考えて、探す和歌(俺は詩を書かないし)は結構楽しい。

 他にも、穴に入れられて兄弟を殺して一人だけ生き残ったから、今生存しているとか、そういう設定を書けば書くほど楽しい。ファンタジー小説とはいえ、もはや自分の小説に近くなって、とにかく救いがない(でも、「ファンタジー世界」のできごとだから救いはあるのだが)展開の連続と言うのが、展翅板の上の無様な獲物に針を刺して行くようで楽しい。一人サディスティックマゾヒスティック

 なんて、俺はとても飽き性なので、本物のサドにもマゾにもなれそうにない。飽き性。ほんとに病的な飽き性と気分障害。数時間ごとに極端に意見が変わる。それを抑える薬を飲めば頭が働かない。無気力と猜疑心の間を駆けまわる。

 それでも、未だいきたいのだろうか。分からない。ただ、書くことが残っているんだ。おぞましものを。おぞましいことと、決着をつけなくてはならない。きっと。