こんなにあるのになにもない

わりと、きちんと仕事を辞めることができた。働いていたとこの先輩方は良い人が多かったのだが、仕事が絶望的に俺に合わなかったのだ。で、俺に合う仕事って? ないんだな、これが。

 仕事がないよりも、仕事がある方がまだ気持ちが安定してしまう年末。忙しさからも人々からも置いてきぼり、それを自分が選んだのか、いつの間にかはぐれてしまったのか。

 ひとり、はぐれたままでいると、精神がひどく病んできて、そわそわぞわぞわぐらぐらしてくるのがとても嫌だ。元気なふりをしていたら、案外平気なあれやこれやが、乗り越えられず、一人家で時間を潰してしまう。

 あ、でも、先日、渋谷文化村で行われていた、 リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展 を見に行った。

 宗教画、肖像画、愛用品の磁器や銀食器、花の静物画。そういった物らはとても趣味が良すぎて、俺にはやや刺激が足りない面もあったが、それでも目に楽しい品々ばかり。なんとなくヴィスコンティの映画を連想してみたり。

 ただ、俺は花が大好きなので、ボタニカルアートの数々はああ、いいなあ、とうっとりと鑑賞。花が描かれているって、なんで、なんて素敵なんだろう。

 あと、「リュートを弾くクピド」という皿が展示されていて、天使大好きだし、あー欲しいなあと思っていたら、会場を出たおみやげショップで複製の皿が2000円で売ってた。

 2000円て、普通に考えたら、安くないか? と思ったが、俺の家は河合と美しいの墓場みたくなっているので、置き場所がないんだよ、馬鹿みたいに色々買っちゃうんだ、しかも2000円って一般人にとってはやすくても、おれの貨幣価値に換算すると2000ドル位なんだ買えないんだ、

ってことで、買いました。

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 無理やり置き場所を作ったから、デビルチルドレンの漫画が映ってたり、ゴダールのdvdがねじ込まれてたり、後ろにタトゥーの図柄が貼られてたり……こういう小汚いやばい家で暮らしてるんだよ俺。

 天使の皿、買ってよかった。でもさ、心がぐらぐらなのは治らず、おまけにずーっと一人家で次の仕事探して見つからない、誰かに会いたくてもおれも見つからない、というのが続いてがっつりメンタルがやられてしまう。

 でも、そういうどうしようもない下らない愚痴、そういうのを書くと、多少だが、気分が楽になる。

 俺はいつまで大丈夫なのかな、もう少しずつ腐り始めて錆び始めているのを誤魔化しているだけなのかな、でも、そう言うのって俺だけじゃなくてみんな似たような物なのかな。

 分からないけれど、もう少し、あがけますように、もう少し、平穏な心でいられますように。