わるいともだち

三月末で派遣の契約が終わる。一応次の仕事は決まったが、希望していた事務ではなく外仕事で、正直始まる前から辞める気満々。でも、支払いがやばい。

 去年の12月に例の病気にかかり、回復してから三ヶ月ずっと調子が悪かった。病院に週一で通っている月もしばしばで、その分仕事はできないし小説を書きたいし、三月末に契約が終わり求職活動でストレスと疲労が本当にひどかった。

 これが年をとるということなのか。俺もそろそろ限界かなあ、それなりに頑張ったよな、でも惨めな最期、でもそれなりに満足した小説を書けたんだ、なんて色々と考えていた。

 でも、新しい小説を書き上げることができた。一応次の仕事も決めた。病院通いも一旦は様子見で大丈夫になった。

 お疲れ様俺。何かが良くなったわけではないけれど、メンタルとストレスがヤバすぎてお薬を飲んでいても不安で視野狭窄になっていて、酷く醜く愚かな精神状態だった。

 それを自覚できる位には回復していた。

 半年ぶり位にアクリル画を描いた。ちなみにその間は一切画を描いていないから、ぶっつけ本番でアクリルで画を描いている。基礎デッサンとか努力が嫌いなおじさん俺。

 

画像

 なんか、思ったよりかは描けた? と思ったが、手前の草花の稚拙さがひどすぎるというか、構図を全く考えずに書いているのがやばいな。

画像

 あれ? 思ったより描けている? と思った。小学生のセンスとも思ったけど。オコジョ?の毛を塗り重ねるのと、チューリップを描くのが楽しかった。チューリップの形は酷い物だが、色を塗り重ねるのがとても楽しい。アクリルはこの点がとても楽で本当に助かる。水彩は塗りなおせないし油彩は準備やら金やらが大変だ。

 とはいえ、こんな素人画でも描くのに3、4時間位? とにかくつかれる。なので半分のサイズの紙を買ってそれに描くことに。

 めちゃくちゃ久しぶり、一年ぶりくらいに世界堂へ。筆もインクも紙もリーズナブルなのを選んでいるのに、軽く数千円が飛ぶ。でも楽しい。

 小説は書き続けている。でも、俺は十代で画を描くのを諦めて三十代後半で再開した。沢山の素晴らしい作品を目にしてきたから、自分の画のクオリティの低さにはがっかりする。でも、画を描くのは、色を重ねるのはとても楽しい。「うまい作品」を完成させるというよりも、何も考えずに描いている。だからか、小説を完成させるのとは違う気楽さと喜びがある。

画像

 半分の大きさの紙だが作業時間はそこまで減らなかった。厚塗り、重ね塗りが好きなので、アクリルではなくて油彩の重量感質感マチエール羨ましい、と思ったがない物ねだり。とにかくアクリルで練習を重ねるしかない。

 ずっと小説を書いていて、画は半年以上サボっていてのに三月に三つ描けた。やればできるやんけ俺。

 続けることが自信になる。

 俺はずっと小説を書き続けているから、自分の小説を好きでいられる。画も続けているなら、自分の理想のレベルには届かなくても良い画だと思える気がする。

 借金の返済をしながら、十代の頃に諦めた画の再開もしている。じぶんがこんなみじめでやばいおじさんになるなんて。

 でも、新しい小説を書きたいと思っていて、画も上手くなりたいと思えている。とても体力を使うけれど、止めないように。芸術は俺を愛さないが、俺のつれない友達は、彼なのだから。