賭けに負けたんだ

 ここ一か月、ギャンブルに狂っていた

三十数年生きてきて、ギャンブルはほぼしなかった。だけど、ストレスの爆発と、躁状態と、小説を書き終えたタイミングが重なり、最悪の結果を生んでしまった。

 今月で仕事が終わるのに、その給料を含めて、貯金以上の金を溶かした。数十万溶かした。毎日ギャンブルのことばかり考えていて、多少勝った時もあった。なのに、その金も全て賭けた。とにかくずっとお金をかけていたかった。

 素人だから下りどころが分からないということもあるだろうが、もう、嫌になった。破滅して見たかった。それか、ほんの少しだけ、お金の心配をしない生活をしてみたかった。

 結果、借金をすることになった。一応これまでの生活で、ぎりぎりで借金はしてなかったのに、一線を越えてしまった。

 その金でギャンブルをしたい欲望もある。だが、俺は何の為にこの惨めな生活を続けているのだろう?

 俺は小説を書いている。誰も読まないような、純文学の小説。読みにくくってエゴイスティックで、俺は、好きな小説。

 誰にも読まれない、お金にならない小説。

 賞に応募しても通らない。というか、俺はその雑誌を読んでいない。古い人の文章が好きだから(今の小説家が劣っているとかいいたいわけではなくて、現代の小説家でも好きだなあうまいなあって人はいるけど、昔の小説家の方が超好きすぎるんだ)

 賞に応募する小説は、一般公開してはいけない、未発表の物に限るらしい。それに、わざわざ俺の小説をお金を出してまで読もうとする人はいないだろう。

 ずっと、孤独で、それはニッチな物を偏愛する人間だから仕方がないことだと思っていた。色んなことがあっても、どうにか誤魔化し目隠し、やりすごしていた。

 でも、もう限界だ。借金をして生活費を工面する。仕事もない。展望もない。美術は好きだし、書きたい主題はある。でも、生活とお金の不安で何もできずにいる。帰宅して、家でずっと動画を流しながら寝ているだけ。

 惨めな人生。

 何作か、手ごたえがある物が書けた。でも、お金にもならないし賞もとらなかった。二十代はそれでもよかった。俺が自分の作品を好きでいられることが一番大切だから。かき続けることが一番大切だから。

 でも、もう疲れた。俺は賭けに負けた。数十万の損失で終わる人生、滑稽だ。希死念慮を薬で抑え、仕事を探している。もし、仕事が決まっても、続けられるメンタルかは分からない。

 最近はずっと、叫び出したくって泣きたくって仕方がない。叫ぶのは一応抑えているが、涙はボロボロでる。

 でも、無様に生き延びている。哀しい。いつ、俺は安らかに死ぬのかな。