2010-01-01から1年間の記事一覧

楽しみは?

数日前まで蓮實重彦と中原昌也と金井美恵子とル・クレジオの読んだ本や読んでない本ばかりを読んでいて、いつもの通り、惰性で知っている名前の本ばかりを図書館で借りたりアマゾンで注文していただけなんだけれど、それにしてもこのラインナップは疲れる、…

セ ラ

本ばかり読んでいた。既読や未読の本に触れつつ、ふと、我ながら、幾ら暇人にしても、よくこんなに読むなあ、と思った。そして、ふとした瞬間に、本が読めなくなった。といっても数日のことだけど、数日間(ほぼ)全く(小説とか評論とかの類の)本を読まな…

前回の夏休みは?

昨日書いた老人ホームの映画を見た。大体、ないとと同じ感想を抱いた。俺は漫画の微妙な実写版、みたいな違和感を覚えた。(乱暴な言い方だけど)漫画って、わざとらしかったり、御都合主義だったりする部分がある。けれど、普通は、それが作品の魅力になっ…

アサヨナカシネマ

俺の大好きな漫画家は中々新作を描いてくれなくて、まあ大好きにせよ全部をそろえているわけではないのだけれど、ふと、やまだないとの本を二冊注文した。 ファッション誌の表紙、というよりも、日本の(マニアの方から渋い顔をされているらしい)音楽雑誌の…

ヘヘヘイ、ヘイ

少し前に中原昌也の演奏を聴きに行った。正直、彼の文章は好きだけれど、音楽活動については初期の『暴力温泉芸者』時代のがピンとこないで、ずっと聞かずにいた、だからその時も軽い気持ちで向かったのだけれど、行ってよかった。本当に良かったと思った。…

ばかなはなし

RebirthのタンクトップとHurleyのハーパンとA.P.C.とRIP VAN WINKLEのシャツを買った。その月の生活費は全て引き落とし日に財布に入れているから大丈夫だった。大丈夫。何が? 自らファッション・ヴィクティムと公言する東洋のバービードール野宮真貴が、イ…

枯れなければ花々は燃えない

ル・クレジオの『海を見たことがなかった少年』を読み、これこそ、俺が思う「ライトノベル」だ! と感じた。少年少女の、きらきらした息吹き、消えてしまう、その息づかい。この本はル・クレジオの著作の中ではかなり読みやすい方だと思う。若者向けに書かれ…

拙者不器用ですからだってばよ

ピンクのシャツを着て仕事場に向かえば洋服に全く関心がないであろう気のいいおっさんからその服はオカマっぽいと言われ、勤労意欲はないしすぐ泣くしゲームばかりやっているし、まっこと、男らしさの塊のような俺は腹立たしかったのだが、男らしくぐちぐち…

また増えてしまいましたが

初めて小説を書いてみよう、と考えた時に意識していたのは、もの派、というよりも、誰も住むことのできないアルテ・ポーヴェラ、というようなもので、もっともデュラスもロブ・グリエも好んではいなかった俺にはそぐわなかったのかもしれない。ミニマルなも…

わるいひとたち

わるいひと、と口に出してしまうことがあり、それは昼間から言えるようなものでもないしまして、こんな日記として残すには気恥かしいもので、狭い薄暗いアルコールの入ったいや、出来上がった空間において成立されるような性質の言葉で、俺はその「わるいひ…

そう、それではありません。

「私は哲学は持ち合わせていません。今は持ち合わせていません。私にとって映画をつくるということは、探偵なり裁判官なり検事なりになって、法廷に証拠物件を提出するのと同じようなことです。またそれがなんの証拠物件なのかを発見しようとするのと同じよ…

君の瞳のジルコニア

柔らかく、時間を拘束して貰う為の数本の、期待していないフィルムの中の一本『いのちの食べかた』がとても良かった。食べ物がどのように作られているか、その工程を映したドキュメンタリー映画だ。ただ、そこに人間の余計な音声はない。これはオーストリア…

ディスイズスティルオーケー

首にしてくれ首にしてくれ首に、と思いながらする雑務、それにしても首、って中々インパクトのある言葉だと思う。首。彫刻で頭部の像の事を何故か「首」と呼ぶけれど、舟越保武の萩原朔太郎の「首」は結構好きで、保武自体はそこまで好きでもないのだけれど…

ゲーム

「こっちも仕事でやっているんです。あんたもしっかり働いてください」 と、電話口、俺がひっくり返った声で叫んだら、相手は少しだけひるんだようだったけれど、その後でまた言い訳と嫌味を繰り返し、とにかく相手にこちらが伝えるべき、相手がしなければな…

もうすぐ倍っすか

十四歳の世渡り術シリーズの中の一冊、森達也の『神さまってなに?』を読みながら、ぜひ十四歳に読んで欲しい本だな、と思った。 森達也はドキュメンタリー、ノンフィクション作家、という位置づけで、やはりオウムを内側から撮る、「A」で有名になった人だ…

宿題について

2006年に発売されて、その時から買おう、読もう、と思いつつも手を出していなかった本江邦夫『現代日本絵画』、の特に序章が刺激的、というか、考えさせられた。以下かなり長い分量を引用してしまうのだが、俺の書いた文章ではないし、できれば目を通し…

青い空

雑な性格をしているせいか、ipodに使用しているイヤホンを2、3ヶ月周期で買いなおしている。普通はどの位もつものなのだろうか? 俺の場合、いつのまにか断線してしまっているのだ。一生、というか5年とか使えるなら高価なヘッドフォンを買ってもいいんだ…

きみのきわめてよいふうけい

映画版も見たかったのだが、それは難しいので本で見る『きわめてよいふうけい』とは、回復後の中平卓馬を撮影したホンマタカシの薄っぺらいお手頃な定価のしかしアマゾン先生なら定価の三倍の値が付いてしまっている写真集。肩の力が抜けまくった中平との対…

ブラッマーケブルースでお前を

また、仕事を探しているのだと告げると「お前遊牧民みたいだな」と言われてしまい俺「ゆーぼくみんすか、か、かっこいい……」と思ったのだが俺に「遊」はあっても「牧」はなくむしろ(以下略) パーキッツのパラボラという曲がすごい良くて、数ヶ月前からアル…

赤紙貼り剥がし

購入してしまった、『ゴダール全評論・全発言』のⅠとⅡ。正直Ⅲも購入するつもりだったのだが、新品9000円中古8000円って! なめてんのかよ馬鹿じゃねえか、と腹が立ったので買わなかった(腹が立ったなら仕方がないよね!)、けど、後で買うと思う、…

ここ数分の感じ

高見順の『いやな感じ』を読み終え、すごく良いというか主題に合いすぎている題名に思いを巡らせた。『いやなかんじ』でも『嫌なかんじ』でもなく、読了後の感想は『いやな感じ』だった。あの感傷的で元気いっぱい、と言ってもいいだろう内容の小説の題が『…

声がしない方へも

2005年に発行された、峯村敏明の『彫刻の呼び声』を読む。美大教授の彫刻に関する評論集で、古いものは30年前にもなる、というか収録されている物の大半が70,80年代に記されており、ドナルド・ジャッドに関しての言及が目立った。 彼の名前を意識…

よいふうけい

結構な量の結構な物を売り払い自分としては結構な金銭を手にしたのだがこれが全てこれからの求職費、生活費やらカードの支払いに消えるのだと思う。結構結構。 中平卓馬の写真を最初から好きだったわけではないのはきっと、彼の回復後の写真が初見だったから…

肌に縫い付ける恋文は

凛としたオールド・ローズの花の写真を拝見し、八重の、多くの人が頭に思い浮かぶであろう薔薇の襞<ドレープ>、の迷宮のような求心性よりも、花弁の少ないその花には、はっとする美しさがある、ように思えていた。 はっとする。瞬時に連想したのは、二重の…

夏に決まり

今年最高の気温を記録したらしいけれど実感はなく、扇風機も冷房も稼働せず、家で本を読んでいた、のも数時間も続けば疲労だけではなく調子が悪くなり、周囲にひと気がないかを伺いながらたどり着いた郵便受けから取り出すアマゾンのメール便、をその場で開…

ヘヴィーライトハードボイルド

ライトノベルもどきを書いてから、ほんもんはどないでっしゃろ、と立ち読みをしたり借りたり買ったりしたのだけれど、普段目にしない表現が多数出てきてびっくりした。超適当だけど、 「わたくしにお任せ下さい♪♪ おにぎりでしたら一分で百四十個位握れるん…

Re:Re:も好きだよ

ロマンポルシェの『ハイスクール・ララバイ』のカヴァーの出来が良すぎて(要はとてもキモくて)原曲以上じゃね、とか思った。というか、俺、松本×細野の歌謡テクノなのに原曲あんま好きじゃないん。なんか中途半端にキモイというか、でも掟せんせーが歌うと…

大大大丈夫

「漫画描きたくない、てか他の人描いて欲しい」 とかガチで言っているっぽい、投げやりな感じの漫画を描いている漫画家のホームページを見てみると、かなり投げやりな感じで、Galleryが工事中なん、そのくせfavorite musicっていう項目がやけに充実していて…

ピストルとピストルズ

そつなくこなしたりぎこちない仕草に対する猛烈な嫌悪も惰性と恒常性が手を取り合ってどうにかしてくれることを信じながらも、帰路の途中で自慰のごとき涙をぼてぼてこぼす、がすれ違う人がそれに気づかないことも気づいていても気にとめないことは知ってい…

彼彼女達、さえも

中村珍の連載打ち切り問題、が少し前にネットで取り上げられていて、最近ちらほら目にする「うわぁ」としか言えない編集者、出版社に対する正当な怒りは読む人の胸を打つものだったその、彼女の初期短編集を読んでみたのだが正直、まあ次が見たいかな、とい…